研究課題
近年、海外の先行研究で職場におけるincivility(非尊重度)が従業員の精神的健康に影響を及ぼすことが明らかになっているが、わが国では、これらの要因による従業員への健康影響についての検討は皆無である。相手の意見に関心を示さない等の非尊重的態度は職場でよく起こりうるものであるが、それらが離職意思、生産性、医療安全などにどのように影響しているかについても、十分に明らかにされていない。そこで本研究では、職場におけるincivilityが職員の健康や医療安全に影響を及ぼすかを明らかにすることを目的として、前向きコホート研究を実施した。研究期間2年目であり最終年度である今年度は、関西地方の社会医療法人の職員559名を対象に追跡調査を実施した(昨年度からの継続:469名、追跡率:78.2%)。また、今年度の定期健康診断結果、並びにインシデント・アクシデントレポートデータの提供を依頼して同意が得られた職員分のデータについて、対象施設より提供を得た。その結果、ベースライン時のincivilityへの曝露と追跡時の心理的ストレス反応や離職意思との間に有意な正の相関が見られた。しかしインシデント・アクシデントの報告件数については、incivilityとの間に有意な関連は見られなかった。ヒヤリ・ハットや事故の発生は自己申告に基づいて記録されており、報告者に偏りが見られたことから、有意な関連が見られなかった可能性がある。今後、調査対象事業場へのヒアリング等を通して、実態を明らかにする必要がある。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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