研究課題/領域番号 |
25893218
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 札幌保健医療大学 |
研究代表者 |
大竹 沙織 札幌保健医療大学, 看護学部, 助教 (00714396)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 看護政策史 / 助産婦 |
研究概要 |
平成25年度は研究課題である1)PHW看護課による日本の助産婦に関する情報収集はどのような過程で行われたのか、2)PHW看護課が日本の助産婦に関して収集した情報はどのようなものであったかについて明らかにするため、平成25年11月~平成26年2月まで国立国会図書館憲政資料室にて1948年までのWeekly Bulletinの収集、1946年6月までのDaily Journalの収集を行った。また、平成26年2月~3月にかけてアメリカ合衆国コロンビア大学ティーチャーズカレッジ、ロックフェラー財団文書館、アメリカ国立文書記録局において看護課リーダー達の書簡の収集を行った。 アメリカ合衆国における史料収集ではコロンビア大学ティーチャーズカレッジにて1か月の電子アーカイブスの契約を行い、文献検索および収集を行った。当初収集を予定していた1945年~1948年の看護課リーダー達の書簡、手紙を収集することはできなかったが、看護課リーダーであるバージニア・M・オールソン(以下オールソン)の1950年代の手紙を収集することができた。同様にロックフェラー財団文書館での調査においてもオールソンの1950年代の日記、手紙を入手した。当初の計画と年代は異なる史料ではあるが、当時を想起している可能性もあるため貴重な史料であると考える。ロックフェラー財団文書館においてはドイツ、カナダ、アメリカの歴史研究者と交流する機会を得、各国の資料収集の限界、アメリカにおける史料収集に関する情報交換を行うことができた。アメリカ国立文書記録局での調査では、看護課リーダー達の書簡、手紙は発見できなかったが、当時の貴重なGHQ文書の原史料にあたることができた。また、アメリカ各施設アーキビストより随時研究史料探索に関する情報提供を受け、今後の研究活動に関わる重要な示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の到達目標である国立国会図書館での史料収集については1946年6月までのDaily Journalの収集および1948年7月までのWeekly Bulletin の収集を終え、アメリカ合衆国、ロックフェラー財団文書館およびコロンビア大学ティーチャーズカレッジにおける史料収集は計画通り行うことができた。アメリカ合衆国での収集の結果、当初予定していた1945年から1948年までの看護課リーダー達の手紙、書簡を収集することはできなかったが、1950年代の手紙、日記を収集することができた。 収集した史料の分析については、平成25年度は1946年6月までのWeekly Bulletin、1945年12月までのDaily Journalから分析の視点である「看護政策」、「助産婦」に関する箇所を抽出した。現在は抽出作業と並行して、PHW看護課の助産婦に対する理解の過程を展望するためGHQの看護政策に関する年譜の作成に着手した。また、同時にGHQ関連史料を読み進めながら、今後の考察、統合にむけての準備を行っている状況である。以上のことから現時点までの到達目標は概ね達成できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は研究課題3)PHW看護課の意図した日本の助産婦はどのようなものであったかを明らかにするため、収集した史料の分析および考察を行う。 史料収集については、平成26年度前半までは前年度に引き続き、国立国会図書館憲政資料室にて1946年7月から1948年7月までのDailyJournalの収集、および国内にてGHQ関連史料を収集する。収集した史料の分析については、平成26年度前半は引き続き1946年7月以降のWeekly Bulletin、1946年以降のDaily Journalより分析の視点に関する箇所の抽出作業を行う。また、収集した1950年代の看護課リーダー達の手紙、書簡をもとに保健婦助産婦看護婦法制定までの期間において、当時を想起している部分はないか、分析をすすめていく。平成26年度後半は抽出した分析の視点に関する箇所をもとに、PHW看護課の助産婦に対する理解の過程を展望するためGHQの看護政策に関する年譜を完成させる。またPHW看護課が収集した助産婦に関する情報を整理し、統合する。最後に得られた結果をもとにしてPHW看護課の意図した日本の助産婦を考察する。さらに、PHW看護課が得た日本の助産婦に関する情報および情報収集の過程について得られた結果を取りまとめ、East Asian Forum of Nursing Scholars (EAFONS) にて学会発表、日本看護歴史学会に論文の投稿を行う予定である。
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