研究課題/領域番号 |
25893222
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
宮坂 智充 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (50709912)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 樹状細胞 / 性差 / ケモカイン / サイトカイン |
研究概要 |
喘息患者は、思春期頃から女性の割合が高くなる。さらに、成人女性の喘息患者は重症化しやすいことが明らかとなっており、喘息の有病率や重症度には性別による明確な違いが存在する。このような臨床的性差の背景にある免疫応答の性差については十分に解明されていない。本研究では、抗原提示細胞として喘息発症前段階の中心的な役割を担う樹状細胞(DCs)に着目して解析を実施する。C57BL/6Jマウスを用いたOVA誘発喘息モデルおいて、OVA吸入12日後の肺におけるIL-4、IL-5およびIL-13産生は雄よりも雌において有意に増加していた。さらに、気管支肺胞洗浄液中の好酸球数およびリンパ球数も雄よりも雌において有意に増加していた。そこで、BLN細胞におけるCD11c^low PDCA-1^high細胞(pDCs)とCD11c^high PDCA-1^neg細胞(mDCs)の割合を雄と雌のマウスにおいて比較検討したが差は認められなかった。さらに、CD8陽性DCsまたはCD4陽性DCsを対象としたサブ解析においても差を認めず、これらの細胞のCD86分子およびMHC-II分子の発現にも差は認められなかった。しかし、CD8陽性T細胞に対するIL-4産生誘導能は、雄のCD11c陽性細胞よりも雌のCD11c陽性細胞において亢進していた。一方で、CD11c陽性細胞からのTARC産生およびIL-6産生は、雄よりも雌において有意に減少していた。これらの結果から、BLNに集簇するCD11c陽性細胞の数および活性化の程度に性差は認められないものの、雄よりも雌において強くTc2分化を誘導している可能性が示唆された。さらに、BLNにおけるCD11c陽性細胞は、Th2ケモカイン産生およびサイトカイン産生におけるフェノタイプに性差が存在する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画に従ってC57BL/6Jマウスを用いてOVA誘発喘息モデルマウスを作成し、雌において有意なTh2型免疫応答を確認した。BLNにおける樹状細胞のフェノタイプの解析を行ったが、当初予測された結果と反して、Plasmacytoid DCs、Myeloid DCsの数および活性化の程度に性差は認められなかった。さらに、Th2型免疫応答を誘導するケモカイン産生は雄よりも雌において減少している可能性が示唆された。当初の目的に従い、喘息病態の性差においてT細胞のTh2分化偏向に関わる樹状細胞の性差を解明するため、喘息誘発後の肺における樹状細胞の役割と病態の性差の関連についても検討している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は喘息病態の性差において重要な役割を果たす樹状細胞サブセットおよび因子を同定し、移入実験において病態の変化における役割を解析することを目的としているが、前項の「現在までの達成度」で述べた課題に対する対応策として、肺より採取した樹状細胞のフェノタイプの解析またはT細胞とのinteractionについて検討を追加する。また、OT-II Tgマウスの繁殖に時間を要している点を改善し、CD4陽性T細胞に対するIL-4産生誘導能における性差についても検討を実施する予定である。
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