研究課題/領域番号 |
25893226
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
白川 真 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (40707759)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 中性子捕捉療法 |
研究概要 |
悪性腫瘍治療のためのホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:以下BNCT)に必要な薬剤開発を目的とした模索を行う中で、腫瘍細胞内に高い10B濃度を達成しうる高機能ナノデバイスの開発は必須である。これは、BNCTでの殺細胞効果および抗腫瘍効果はホウ素の非放射性同位体(10B)濃度に寄与するところが大きいためである。この新規薬剤開発において、平成25年度は、新規作製したホウ素リポソームの物性評価および各細胞種による取り込み比較を行った。 本リポソームの粒子径およびゼータ電位、内水相の容積を測定し、粒子設計を行った結果、ゼータ電位はエンドサイトーシスによる細胞内取り込みを亢進させるカチオンを示し、粒子径はTEM(透過型電子顕微鏡)、動的光散乱法により、最もEPR効果(Enhanced Permeation and Retention effect)を得られると報告のある100nmに調製することが可能となった。この結果により、担がんマウスモデルを用いたin vivo実験において、本リポソームが腫瘍へと集積し、腫瘍抑制効果を得られることが示唆された。 最適化された本リポソームを用いて、CT26(マウス大腸がん細胞)、C6細胞(ラットグリオーマ細胞)、NIH3T3細胞(マウス胚性線維芽細胞) の各細胞種による取り込みを比較した。結果、各細胞種ともに、コントロールと比べて、有意に細胞に取り込まれたことから、腫瘍細胞種によらず殺細胞効果を得ることができることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
目的の化合物を合成するために必要な試薬量が確保できていないため、in vitroおよび in vivoでの実験が滞っている。必要な試薬が海外の一企業のみで販売しており、他の試薬会社からの購入は難しい。さらに、最近はその試薬会社が発注後に合成・供給を行うようになったため、実験のスピードに影響が出ている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当初、作製したホウ素リポソームにBSHなどのホウ素化合物を封入したのちに、中性子照射を行う予定であったが、現在保有している試薬量を考慮し、in vivo実験において、まずホウ素化合物封入前のホウ素リポソームの腫瘍抑制効果の検討を行う。この結果から、血中滞留性が保てない場合は、リポソームの粒子設計を再度行い、PEG脂質の構成比率を上げる。またはリン脂質の種類変更を行い、対応する。また、急性毒性が現れた場合は、他の腫瘍親和性リガンド(R8,R7,Penetrain,chlorotoxinなど)と結合させ、機能類似性をもつ新規ホウ素化合物の合成を検討する。
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