悪性腫瘍に対する低侵襲性の治療法として、ホウ素中性子捕捉療法が注目されている。本研究は、膜透過性ペプチド(TAT)に着目し、細胞内への高濃度ホウ素デリバリーが可能なキャリアーを新たに開発した。 既に開発に成功したホウ素含有ペプチド脂質類似体を用いてリポソームを調製し、その物性および細胞内導入能、中性子線照射による殺細胞効果の評価を行った。 本リポソームは約100nmに調製することが可能であり、TATの細胞内導入能により、腫瘍細胞内への高濃度ホウ素導入に成功した。そこで、腫瘍細胞へ本リポソームを投与し、中性子線照射を行った結果、各コントロール群に対し有意に殺細胞効果を示し、生存率は1%以下となった。
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