研究課題
Bone Morphogenetic protein (BMP)は、生理的骨形成及び異所性骨形成において重要な役割を果たすサイトカインである。BMPの細胞内シグナルは、転写因子Smad (Smad1, Smad5, Smad8(別名Smad9))が受容体によるリン酸化を受けて活性化されることで伝達される。本研究では、Smad1、Smad5、Smad8(Smad9)のリン酸化を模倣した構成的活性型変異体を構築し、BMPシグナルの機能解析を行った。前年度の研究から、Smad8は、Smad1やSmad5に比べ著しく転写活性が低く、むしろBMPシグナルを抑制することが判明した。そこで、本年度は、Smad8によるBMPシグナル抑制の分子メカニズムを検討した。Smad8とSmadシグナルの抑制因子の結合を免疫沈降法で検討すると、Smad8は、Smad1に比べ抑制因子との結合能が高いことが判明した。Smad8による抑制効果がシグナル伝達型のSmadに直接作用することが考えられたため、Smad8とSmad1のタンパク結合を確認した。すると、Smad8とSmad1の複合体が形成されることがわかった。さらに、in vivoでのSmad8の生物活性を検討するため、マウス胎児でのSmad8 mRNAの発現を継時的に観察した。その結果、Smad8 mRNAの発現パターンは、シグナルを伝達するSmad1やSmad5とは異なり、シグナルを抑制するSmadであるSmad6やSmad7と高い相関が認められた。以上の結果より、従来、BMPシグナルを伝達するSmadと考えられていたSmad8は、Smad1やSmad5と複合体を形成し、ドミナントネガティブにBMPシグナルを抑制することが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (11件)
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