研究課題/領域番号 |
25893232
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
蛭田 勇樹 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (60710944)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 環境応答性高分子 / 高分子合成 / 機能性蛍光プローブ / ナノ材料 / 細胞イメージング |
研究概要 |
がん細胞などの病態細胞は正常細胞と比べ、細胞内の反応の活性が高く、正常細胞より熱生成(発熱)が大きいことが知られており、癌やアルツハイマー病では異常pHを示すことが知られている。しかし、これらの違いはわずかであり、病態細胞のターゲティングに応用するには、それらに対して敏感に応答する必要がある。そこで、本研究では、温度およびpHに敏感に応答する機能性ポリマーを基盤とする蛍光ポリマープローブの創製と病態細胞の選択的イメージングを可能にする技術の開発を行った。温度応答性高分子であるpoly(N-isopropylacrylamide) (PNIPAAm)を基本骨格として、下限臨界溶解温度(LCST)の異なる温度応答性ポリマーを合成し、ポリマー末端にFluoresceinを結合し、蛍光ポリマープローブとした。この蛍光ポリマープローブはLCST以下では細胞内への取り込みは見られず、LCST以上では細胞取り込みが見られた。以上のことから細胞取り込みを温度によって制御可能であることが示された。PNIPAAmにpH応答性のsulfamethazine acrylamide (SMZ)を共重合体として加えることで正常細胞周辺pH(pH 7.4前後)では親水性を示し、がん細胞周辺pH(pH 6.8前後)では疎水性を示すpH/温度応答性ポリマーを合成した。SMZはpH 7.4前後では解離型でマイナス電荷をもち、pH 6.8前後では非解離型で疎水性度が大きくなりLCSTを低下させる。このポリマーにもFluoresceinを結合し、蛍光ポリマープローブとした。この蛍光ポリマープローブはpH 7.4では細胞に取り込まれず、pH 6.8で細胞取り込みが見られた。これらの結果から、蛍光ポリマープローブを用いた病態細胞選択的イメージングへの応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画通り、環境応答性蛍光ポリマープローブの合成および評価が順調に進んでおり、さらに次年度の研究計画予定であった細胞イメージングを行うことができ、それらの成果は学術論文や学会にて発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の基礎となる環境応答性蛍光ポリマープローブの合成および評価法については確立することができたので、それらを用いた細胞イメージングに重点を置いて研究を推進していく予定である。得られた成果は精力的に学術論文や学会にて発表していく予定である。
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