研究実績の概要 |
看護系大学生が実習において使用している自己調整学習方略の実態と看護実践能力との関連を52名の回答を得て分析したところ以下の結果が得られた。なお、この研究において学習方略の測定は、看護系大学生の学習方略に関する定性的研究の結果を反映し、看護師の自己調整学習方略尺度(三浦, 2012)の項目表現を修正し作成した(34項目,下位概念「省察的」「向上志向的」「エビデンス探索」「協同」学習方略,「5いつも行う」~「1全く行わない」の5件法)。 看護系大学生の自己調整学習方略尺度のクロンバックα係数は0.93であり、内的一貫性が認められた。学生の使用程度が平均4.00以上であった項目は「2 複数のことがらを勉強する時には優先順位を付ける(m=4.14)」「12 情報は友人と共有する(m=4.03)」等の3項目(8.8%)であった。また、学生の使用程度が平均3.0未満であった項目は「24 積極的に学習できる場に行く(学会・研修会・講演会など) (m=2.32)」「27 看護系の雑誌には定期的に目を通す(m=1.90)」等の5項目(14.7%)であり、「向上志向的(3項目)」および「エビデンス探索(2項目)」学習方略の使用が少ないことが示された。 さらに、看護実践能力との正の相関が0.4以上であった項目は「6 実習の時、看護師や他の専門職と積極的に話す(r=.40)」「22 勉強した知識を実践に使ってみる(r=.44)」「34 学習したことを活用できる活動に挑戦する(r=.47)」等の6項目であり、「省察的」学習方略に属する方略(3項目)が多いことが示された。以上より、看護師の学び方を学ぶ教育プログラムへの示唆として、「向上志向的学習方略」および「エビデンス探索方略」に関する知識提供と「省察的学習方略」の使用強化の必要性が示された。
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