本研究は、術後の早期離床に向けた看護援助プログラムの開発に向けた基礎研究に位置付けられるものであり、研究1「消化器外科領域における早期離床の文献レビュー」、研究2「消化管術後の離床を実現する要素と離床の効果」を実施する。今年度は以下の2点に取り組んだ。
1.文献検討:消化器外科領域における離床の内容、方法、成果を整理することを目的に、医療系の文献検索システムを用いて国内外の文献を収集した。術後の離床は、古くからその実践、成果が報告されているが、近年はERAS(Enhanced Recovery After Surgery)プロトコルに代表される周手術期リハビリテーションプログラムの開発・実践が広がり、離床はプログラムを構成する介入項目のうちの一つに位置付けられていた。離床に関する研究は、有効性や安全性の検証、術前の教育的介入の効果を検討した研究が多く、実施に離床を促進するための看護介入についてはほとんど研究されていなかった。消化器外科領域では、離床開始のタイミング、頻度、強度を示すガイドライン等はなく、施設により実践内容が大きく異なる現状が推察された。
2.インタビュー調査に向けた研究計画の検討:次年度、患者および看護師が認識する離床の影響要因と効果を明らかにするインタビュー調査を予定しており、その実施に向けて対象者のリクルート方法、インタビュー内容の検討を行った。
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