本研究は安定期COPD患者の体調調整に合わせたテーラーメイドケアプログラムを作成することを研究課題とし、患者が主体的に病気と付き合いながら生活できることを支えられるような療養支援プログラムを作成することを目的とした。平成26年度は慢性呼吸器疾患患者への看護を専門とするエキスパートナースが行っている療養支援を明らかにするためのインタビュー並びに、慢性呼吸器疾患患者の療養行動に関する文献検討を実施した。 エキスパートナースが行っている療養支援は、1)持っている力を引き出す、2)身体の理解を促す、3)日常生活を整える、4)包括的なケアを提供するための多職種連携を行っていることが明らかになった。具体的には1)持っている力を引き出すこととして、患者の気持ちの安定を支える、内面的な価値を捉え、価値の転換を支援する、患者の思いや関心を支え、患者のペースで療養を生活の中に取り入れていける力を信じるなどが語られた。2)身体の理解を促すこととして、COPD患者をはじめとする慢性呼吸器疾患患者では、身体の変化を患者自身が捉えにくく患者自身が認知、認識している体の状態と実際の状態ではズレがあることから、患者に実際の体の状態や変化を捉えられるようにデータや患者が関心のある知識や病気の見通しを伝え、自分自身の体を意識できる、体調の変化に気づける、気遣えるようにするなどの支援を行っていることが明らかになった。また、患者の療養を支援するための看護者の態度や姿勢として、医療者と患者の視点の両方から病気と生活をみる、患者を信じ待つ、患者が関心や価値を置いていることを認める、行動の変化ではなく気持ちの変化を支えることなどが重要であることが明らかになった。今後、これらの結果を踏まえ具体的なケアの内容や看護者としての関わりの姿勢や態度を抽出していくことを課題とする。
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