研究課題/領域番号 |
25893250
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
前田 京子 (吉岡 京子) 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00708951)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 近隣苦情 / 精神障害者 / 行政 / 保健師 / 支援技術 |
研究概要 |
平成25年度は、先行研究のsystematic reviewと行政機関に寄せられた近隣苦情相談のうち、近隣苦情の的となっている精神疾患に罹患しているおそれのある住民の特徴と保健師による支援方法を量的研究により解明した。先行研究のsystematic reviewの結果、総務省の統計などから近隣苦情相談のうち、特に「近隣騒音」が問題になっていることが明らかとなったため、医中誌、Cinii Articles、国立国会図書館OPACの3つのデータベースを用いて検索し、最終的に23本の論文を検討した。その結果、半数以上の論文が1980年代以後に書かれており、経済発展と都市化の進展が近隣騒音問題に影響している可能性が示唆された。また、従来は法律で規制することが可能な工事現場や商業施設の騒音が問題となっていたが、次第に近隣住民の生活音が問題となっていた。生活音活については、法律での規制が困難であり、近隣住民とのコミュニケーション不足が騒音の受け止め方にネガティブな影響を及ぼしていた。反対に、近隣住民との関係が良好な場合には、日常生活音に対するネガティブな感情は有意に減少していた。都市化の影響を考慮すると、近隣騒音の問題は住民や行政にとって避けて通れない問題であり、特に都市部では、地縁が脆弱化しているため、行政による介入が必要となっていることが明らかとなった。近隣騒音問題の改善には、近隣住民の関係性を改善するような支援の必要性が示唆された。 量的研究の結果、保健師は精神疾患に罹患しているおそれのある住民に対して精神科の外来受診支援をしていた。また、受診支援の有無で2群比較した結果、受診支援あり群は受診支援なし群に比べて、生活保護受給者、過去の精神科治療中断歴がある者、自立生活が不可能な者、現状を放置した場合本人の生命・身体への影響がある者の割合が有意に高かった。保健師は、治療中断を予防し、精神障害者の生活をまもる支援を行う必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H25年度に行った量的研究は、研究代表者が研究協力の得られた職場から円滑にデータを得たこともあり、順調に研究が進んだ。このため、H26年の1月から、当初H26年度に計画していたヒアリング調査を一部前倒しして開始している。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は、精神疾患に罹患しているおそれのある住民に関する近隣苦情相談への保健師の支援方法の解明(質的研究)を行う予定である。既に3人の保健師から協力を得て、ヒアリング調査を行っている。今後もサンプル数をできるだけ確保し、より多くの保健師からヒアリングを行う計画である。
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