研究課題
平成26年度は、精神疾患に罹患している恐れのある住民に関する近隣苦情相談にどのように対応していたのかを探求することを目的として事例研究を実施した。研究参加者は、精神疾患に罹患している恐れのある住民に関する近隣苦情相談に対応した経験のある前期中堅期以上の市区町村保健師11人である。1人つき1回の半構造化面接を行った。11人の保健師に共通する対応方法として10個のカテゴリーを作成した。各カテゴリーを時間軸に基づき検討した結果、共通の段階が抽出された。Phase1『苦情主の主訴から本人の問題行動と精神疾患の関連を検討し対応の可否を説明する』、Phase2『本人やキーパーソンになれる家族に関する情報収集をし、信頼関係を構築する』、Phase3『本人のプライバシーを保護しながら、本人と苦情主を行政として支援する』であった。保健師は、苦情主の主訴を契機として苦情の的となっている本人の支援につなげていた。その際本人や家族を脅かさないようなアプローチで信頼関係を構築し、本人が地域で生活を継続できるように支援していた。また保健師は、苦情主も住民の一人として支援し、精神疾患に対する偏見や誤解を改善するための情報提供をしていた。本結果から、保健師は近隣苦情相談への対応を通して、苦情の的となっている本人を支援するきっかけをつかむと共に、精神障害者に対する苦情主の理解を深めることに寄与する可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Asian Pacific Journal of Disease Management
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