研究課題
アルツハイマー病(AD)の発症とその表現型の危険因子として、いくつかの候補遺伝子多型が関与していることが先行研究で分かってきた。しかし、候補遺伝子のエピジェネティクな制御の関与はいまだ分かっておらず、生活習慣病やその他の危険因子との関連性から今後の重要な研究課題といえる。本研究は、ADの発症とその表現型に候補遺伝子プロモーター領域のメチル化頻度の影響を検討することを目的とした。対象となる遺伝子を神経可塑性に影響する脳由来神経栄養因子(BDNF)に絞り本研究で標的とするプロモーター領域を先行研究及び国立生物工学情報センター(NCBI)GenBankより決定した。プロモーター領域メチル化がどの程度の頻度でみられるかの実験条件の決定を行った。AD患者及び健常コントロールDNAサンプルをバイサルファイト処理後、PCRにより関心領域配列の増幅を行った。その後PCR産物をクローニングし、10個以上のクローンをダイレクトシーケンス後、各CpGサイトメチル化頻度(%)の算出を行った。AD12名、健常者6名のBDNFプロモーター領域のメチル化頻度の解析を終え、2群間で比較した。ADと健常者のBDNF遺伝子プロモーター領域のメチル化率を2群間で比較し、ADで有意にメチル化率が亢進していることが分かった。さらに、ADで有意に亢進していたCpGサイトメチル化率といくつかの神経心理検査スコアや罹患期間と有意な相関を認めた。それらの結果をまとめ、Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Extra 2015 Mar 4;5(1):64-73で英論文発表した。BDNF遺伝子プロモーター領域メチル化がADの神経認知機能に影響し、結果として疾患発症と関連することが示唆された。今後さらにサンプル数や遺伝子解析領域を増やし、将来的に再検証していく予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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