研究課題/領域番号 |
25893253
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
神野 英生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60514536)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 網膜色素変性症 / マイクログリア / 炎症 / 細胞死 |
研究概要 |
加齢黄斑変性や網膜色素変性などの網膜変性疾患は視細胞死を生じ失明に直結する難治性疾患である。視細胞は光シグナルを受容し後頭葉視覚野へ伝達する視覚に取って不可欠である細胞である。中枢神経系である視細胞は一度ダメージを受けるとその後の再生は不可能であることから、網膜変性疾患の治療においてはどのようにして視細胞を保護していくのかを検討していくことが重要である。しかしながら、現在までに人において視細胞を直接に保護する治療戦略はいまだ開発されておらず、新たな方法を発見しなくてはならない。我々はこれまでに視細胞死を促進させる因子として網膜内の炎症に着目し研究を進めてきた。その中で網膜内にて炎症を生じる原因となりうる細胞として1)網膜内在住マクロファージであるマイクログリア、2)網膜色素上皮細胞、3)網膜外から侵入したモノサイト由来マクロファージ、に着目している。我々の検討により、視細胞由来蛋白質をこれらの細胞が貪食すると炎症性サイトカインおよびケモカインを産生し活性化を呈することが判明した。この結果は細胞死を生じた視細胞をこれらの炎症細胞が貪食し活性化することが網膜内炎症を生じさせる機序の一つであることを示唆している。今研究は網膜変性を生じた生体内でいつ、どのようなタイミングで、どうしてこれらの細胞が活性化し炎症へと至るのかを明らかにすることにより、将来的な網膜変性疾患に対する新規治療戦略を考案していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東京慈恵会医科大学にて今研究を開始するにあたり、本学動物実験委員会および遺伝子組み換え安全対策委員会にて審査を受け許可を得た後に開始したため当初予定より若干の遅れが出ている。しかしながらすでに目的のMertk-/-Cx3cr1GFP/+Ccr2RFP/+マウスの完成に近づいており研究期間内に十分に挽回できることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
Mertk-/-Cx3cr1GFP/+Ccr2RFP/+マウスを完成させ当初の予定通りに網膜変性時に網膜下腔に侵入するマイクログリアおよびマクロファージの動態を検討していく。また、ケモカインレセプターであるCx3cr1やCcr2が網膜変性における治療ターゲットとなりうるのかを検討するためにMertk-/-Cx3cr1GFP/GFPマウスおよびMertk-/-Cx3cr1RFP/RFPマウスを作成しMertk-/-と比較することによって網膜変性におけるこれらの役割を検討していく。
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