研究課題
平成26年度は、高活性誘導体の創製を目指し、独自開発したTCP-112(1)のカルボン酸に着目し、構造活性相関研究を展開した。合成した誘導体のリードスルー活性を、PTCとしてTGA配列を含むデュアルレポータープラスミドを導入したCOS-7細胞にて測定した結果、1のカルボン酸をベンジルエステル構造へと変換した誘導体2が、1と同程度のリードスルー活性を示した。その一方で、ベンジルアミド構造を導入した誘導体では、そのリードスルー活性値は大幅に低下した。この結果より、2のベンゼン環上の置換基に着目した誘導化を実施したところ、当該ベンゼン環上に臭素、塩素などハロゲノ基を導入した誘導体では、1よりも高い活性を示すことが明らかとなった。特にメタ位に塩素を導入した誘導体TCP-182(3)に高い活性が確認された。これはエステル構造の導入に加え、ベンゼン環上の置換基の効果により誘導体の脂溶性が増し、細胞内移行性が向上したためと考察した。高活性を示した誘導体はエステル構造を有していることから、培養細胞を用いた活性評価中にエステラーゼにより分解を受けるプロドラッグであることが考えられた。そこで、エステル型誘導体が活性本体であるのかを確認すべく、25年度に構築した無細胞タンパク質合成系(cell-free)にてリードスルー活性を評価した。培養細胞評価系ではTCP-112(1)と182(3)は、共に高いリードスルー活性値を示したが、cell-free評価系においては、エステル型誘導体3は、陰性対照と同程度の低い活性値を示した。この結果から、エステル型誘導体は細胞内に導入後、エステル部位がエステラーゼより分解されて1に戻ることで活性を示すプロドラッグの獲得に成功した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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ChemMedChem
巻: 9 ページ: 2233-2237
10.1002/cmdc.201402208