研究課題/領域番号 |
25893259
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田中 智博 東京理科大学, 薬学部, ポストドクトラル研究員 (20711667)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 分子機械 / 酵素反応 / ロタキサン / キラル分子 |
研究概要 |
本年度はキラルな軸を有するロタキサン分子の合成法の確立及び分子設計の妥当性を検証するため、モデル分子としてアキラルなエチレングリコールを有するロタキサン分子の合成に取り組んだ。まず、報告者らはリングに水溶性の高いαシクロデキストリン(α-CyD)を選択し、軸分子としてステーションとなるアゾベンゼンの両末端にエチレングリコールリンカーを介して、サイクレン亜鉛錯体が導入された分子を設計・合成した。また、ロタキサン分子の構築は過剰のα-CyD存在下にアゾベンゼンジカルボン酸及び末端にサイクレンを有するジエチレングリコールアミンを水中で使用可能なトリアジン系縮合剤DMTMMを用いて縮合することで行った。その結果、10-20%と微量ではあるが、目的とするロタキサン分子の合成に成功した。本合成法は、キラルな軸を有するリンカーにも適応可能であると考えられる。また、ロタキサンを構築した後にα-CyDの水酸基をモノトシル化及びアジド化を行うことでリングにHuisgen反応を用いて種々の分子を導入できることが可能となった。 一方、合成した分子シャトルの動力源である酵素によるリン酸化反応も検討した。単糖をリン酸化する酵素であるへキソキナーゼ及びグリセロールをリン酸化するグリセロキナーゼを用いてリングのリン酸化を試みているが、現在のところリン酸化は観測されていない。今後、使用するキナーゼやリングに導入する基質分子を種々検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水中でのロタキサン合成は、その合成的扱いづらさから非常に困難であるが、報告者らは既にその合成を達成している。また、ロタキサン分子を構築した後にリングを修飾する方法も同時に確立できたため、今後は様々な応用が可能であると考えられる。リン酸化酵素によるリングのリン酸化は達成できていないが、上述の方法を用いて様々な基質分子を導入することでこの問題は解決できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度の達成できなかったリン酸化反応の検討及びそれに伴うロタキサン分子の動的挙動の解析を行う。ステーションとなるアゾベンゼンはシクロデキストリンに包接されることでその吸光度が減少することが知られている。そのため、ロタキサン分子においても、10から11への構造変化に伴ってアゾベンゼンの吸光度(400-500 nm付近)が上昇すると考えられる。また、アゾベンゼンがCyDによって包接されることにより、円二色性(CD)スペクトルにおいて正のコットン効果が生じる。そこで、アゾベンゼンの吸光度変化とCDスペクトルを測定することで、リングの直線移動を観測する。また、今年度確立したロタキサンの構築法を基にキラルな軸を有するロタキサン分子を設計、合成する予定である。その分子について、リングにHuisgen反応により高分子タグを導入し、AFMでその挙動を観測する。
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