研究課題
研究活動スタート支援
平成25年度(9月~)は主に以下の2つの実験について研究を進めた。①アデノ随伴ウイルスを用いたインビボ発光レポーターの作成。②交代勤務モデルマウスの睡眠・活動リズム、末梢時計の変化の測定。①については、緑色、赤色それぞれの波長ピークを持つルシフェラーゼ(TOYOBO)を組み込んだコントロールベクター、または時計遺伝子Bmal1のプロモーターを先頭に組み込んだベクターを作成した。作成したベクターはHEK293細胞へのトランスフェクションにより、それぞれの波長にピークを持つ発光が得られた。また、それらの細胞をマウス皮下に移植しても、その発光をインビボイメージングにて確認することが出来た。現在、そのベクターを用いてアデノ随伴ウイルスの作成が完了しており、力価の測定、実際のマウスへの投与などを今後行っていく。②については、明暗環境の変化と共に、新しい暗期に確実にマウスを覚醒させる方法を確立し、安定に実験が行える態勢を整える事が出来た。また、ただ明暗をシフトする群と、覚醒を促す群とでは、末梢時計の同調スピードに違いが見られる可能性も確認した。本研究課題は、時差ボケや交代勤務時における体内時計機能の、臓器間の連携、または恒常性維持機構の変化を個体レベルで追う実験である。平成25年度の研究により、個体レベルで発光イメージングを用いた研究を進めていける可能性、また個体レベルで交代勤務を模倣できることが示されたと考えている。
2: おおむね順調に進展している
アデノ随伴ウイルスの作成が完了した事、交代勤務モデル動物の作成が完了した事は、当初の予定に沿った研究を進められている事と考えた。しかし平成25年度中に、アデノ随伴ウイルスを用いた発光イメージングの基礎実験を終わらせる予定であったが、そこまでは進まなかった。原因は、初めての実験手法が多く、ベクターのクローニングに時間がかかってしまったからであった。
前年度に引き続き、交代勤務モデルマウスにおける概日時計の変化を検討する。特に、PER2::LUC、Bmal1-ELucマウスを用いた、交代勤務時の概日時計の変化について引き続き測定を行う。また、前年度作成が完了したアデノ随伴ウイルスの、力価の測定、マウスへの投与条件の検討などを行っていく。特に、尾静脈投与によりどの臓器がより発光測定に向いているかを検討する。また、脳内や臓器への直接投与による影響についても検討を行う。また、交代勤務モデルマウスの解析をさらに進める。体温リズム、呼吸商の日内リズムについて調べる。また、作成したアデノ随伴ウイルスを用いた発光レポーターにより、交代勤務時の時計の変化、代謝の変化等を測定する。その後長期間の交代勤務暴露に対する健康への影響についても個体レベルで解析していく。
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