研究概要 |
1.スフィンゴ脂質を中心とした包括的リピドミクス手法の開発 一連のスフィンゴ脂質(Cer, S1P, Sph, SM, Cer1P, HexCer, LacCer, GM3)を包括的に定量測定できるLC-MS法を新たに開発した。本方法では、スフィンゴミエリン合成酵素(SMS)の代謝物としてのホスファチジルコリンとジアシルグリセロールの測定も可能であり、SMSの関わる代謝変化を解析するための有効な手段となった。さらに、コレステロール解析を追加することで、細胞膜脂質マイクロドメインを構成する脂質群の変動を解析することも可能となった。本方法を用いてSMS2ノックアウトマウスの臓器を解析したところ、肝臓においてSM(d18:1/22:0), SM(d18:1/24:0)が減少し、HexCer(d18:1/22:0), HexCer(d18:1/24:0)が上昇していることがわかった。同時にDHA含有グリセロリン脂質が上昇しており、スフィンゴ脂質代謝の変化がグリセロリン脂質の脂肪酸組成に影響を与えることがわかった。 2.骨髄間質細胞株(MC3T3-G2/PA6)の細胞膜脂質の解析 細胞膜のプロテオーム解析に用いられている、カチオニックコロイダルシリカビーズ(CS)法による細胞膜分離技術を細胞膜リピドミクスに応用するために、CS法を改変した。骨髄間質細胞(MC3T3-G2/PA6)およびマウス胚性線維芽細胞(MEF)の細胞膜脂質解析に、この改変CS法を適用し細胞膜構成脂質の違いを明らかにした。これにより脂質構成と機能とを相関付けることが可能となった。
|