ヒト乳歯歯髄細胞を、実験に関して十分に説明し本人や保護者の同意を得た後乳歯歯根が2/3以上残存する齲蝕のない乳歯より採取する。採取に関しては大阪歯科大学医の倫理員会の承認を得ている。(大歯医倫理110713号)。採取した細胞をフラスコに付着させ増殖してきた細胞を初代乳歯歯髄由来細胞とし、その後10cmディッシュで細胞を培養する。本研究に関しては3-7継代した細胞を用いた。 BIO刺激乳歯歯髄細胞について、MTS Assayにより細胞生存率の検討を行った結果、BIO0.5-1.5μM刺激細胞において細胞増殖に有意な変化は認められず、細胞に与える影響はわずかであった。 BIO刺激乳歯歯髄細胞について、未分化能に関連しているOct4、Sox2、c-myc遺伝子発現変動をReal-time RT-PCRにより検討を行った結果、BIO1.0、1.5μMでOct4、Sox2遺伝子の有意な発現増強が認められた。c-myc遺伝子に関してはすべての濃度において減少した。 幹細胞マーカーの発現変動の測定では、BIO刺激乳歯歯髄細胞においてフローサイトメトリーにより検討を行った結果、BIO1.0μM刺激によりCD44、CD90の有意な発現増強が認められた。 現在、BIO刺激により乳歯歯髄細胞に存在している未分化幹細胞数の検討および、BIO刺激細胞において、他の細胞への分化が可能であるか検討している。
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