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2013 年度 実績報告書

大脳皮質前頭前野-背側縫線核の神経活性制御に基づく新たな精神疾患治療戦略の探索

研究課題

研究課題/領域番号 25893274
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関摂南大学

研究代表者

荒木 良太  摂南大学, 薬学部, 助教 (90710682)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード精神疾患 / 環境因子 / エピジェネティクス / グルタミン酸神経 / GABA神経
研究概要

本研究は、長期隔離飼育マウスの異常行動発現の分子基盤を明らかにすることを目的とし、これまでに申請者が異常行動発現との関連を明らかにしている大脳皮質前頭前野-背側縫線核神経回路の過剰な活性化のメカニズムを解析するものである。
以前の検討から、大脳皮質前頭前野-背側縫線核神経回路の過剰な活性化には大脳皮質前頭前野の神経興奮が大きく寄与していることが示唆されたことから、本研究ではまず、大脳皮質前頭前野における興奮性グルタミン酸神経ならびに抑制性GABA神経に注目して解析を行った。長期隔離飼育マウスの大脳皮質前頭前野において、PCRアレイやreal-time PCRによるグルタミン酸神経系関連遺伝子、GABA神経系関連遺伝子の網羅的な発現解析を行った結果、いくつかの遺伝子において発現変動が認められた。そのうちの1つの遺伝子に関しては、異常行動の発現に関与していることを見出した。
次に、長期隔離飼育マウスの異常行動発現への関与が見出された遺伝子に関して、エピジェネティックな発現調節機構の関与を解析した。メチル化DNA解析を行った結果、長期隔離飼育マウスで発現変動している遺伝子のプロモーター領域において、DNAのメチル化レベルの変化が認められた。さらに詳細にDNAのメチル化部位を解析し、GC boxにおけるDNAのメチル化が顕著に変動していることを明らかにした。そこで、GC boxに結合することが知られている転写因子の結合量をクロマチン免疫沈降法により解析し、長期隔離飼育マウスの大脳皮質前頭前野において、目的遺伝子のプロモーターGC boxにおける転写因子の結合量が変化していることを見出した。
本成果は、長期隔離飼育マウスの異常行動発現に、エピジェネティックな遺伝子発現制御の変化が関与していることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度研究計画として挙げていた1)大脳皮質前頭前野-背側縫線核神経回路の過剰な活性を制御する分子の探索に関しては、まず、グルタミン酸神経やGABA神経に注目しPCRアレイ解析やreal-time PCR解析を行うことにより、いくつかの発現が変動している遺伝子を見出した。そのうち1つの遺伝子に関しては異常行動発現への関与を明らかにした。PCRアレイ解析において発現変動が認められた他の遺伝子に関しては未だ詳細な解析を行っておらず、今後、異常行動発現との関連を詳細に検討する予定である。2)大脳皮質前頭前野-背側縫線核神経回路の過剰な活性を制御する分子のエピジェネティックな発現制御メカニズムの解析に関しては、異常行動発現への関与が見出された遺伝子の発現変動に、DNAのメチル化変化とそれに伴う転写因子の結合量変化といったエピジェネティックな遺伝子発現調節機構の関与を明らかにした。

今後の研究の推進方策

平成26年度は、PCRアレイ解析により変動が認められた遺伝子のうち詳細な解析を行っていない5つの遺伝子に関して、異常行動発現との関与、エピジェネティックな遺伝子発現調節機構等について解析を行う。加えて、セロトニン神経関連遺伝子に関しても網羅的な発現変動解析を予定している。
また、長期隔離飼育マウスの大脳皮質前頭前野において、DNAのメチル化変化が認められたことから、DNAメチル化酵素やDNA脱メチル化酵素の発現解析をreal-time PCR法、ウェスタンブロット法により解析する。
さらに、株化細胞や初代培養細胞を用いて、DNAのメチル化による遺伝子発現制御機構を簡便に解析できるin vitro評価系を構築し、異常行動発現との関連が見出された遺伝子のDNAメチル化機構の解析や、新規治療薬候補化合物の探索を試みる。

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公開日: 2015-05-28  

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