臨床現場でしばしば問題となる薬剤性肝障害が起こると、投与中の薬による治療効果とのバランスから被疑薬投与中止のタイミングを図るのに難渋する。そこで、患者データと動物モデルを用いて、抗てんかん薬フェニトインによる薬剤性肝障害発症時の肝逸脱酵素と肝機能について検討を行うこととした。患者診療情報より、投薬中止後、多くの場合、血中ALT値は速やかに低下したが、基準値に戻るまでの期間が遷延した例も見られた。モデルマウスを用いた検討では、同じALT値でも、肝機能への影響が異なる可能性を見出した。以上、薬剤性肝障害発症時には、肝機能を考慮した投薬中止基準を確立する必要性が示唆された。
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