研究課題
大麻主成分であるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)は、抑うつや不定愁訴などの精神障害を引き起こし、これらの精神障害は断薬時の退薬症候として表れ、大麻に対する精神依存をさらに強化させることが知られている。しかしながら、それらの精神障害発症メカニズムや原因因子は依然として未解明のままであった。一方、近年の疫学研究から体内時計の異常と精神疾患発症との関連性が指摘されている。これらの研究背景を踏まえ、本研究では、Δ9-THC惹起性の精神障害発症と体内時計の機能異常との関連性を明らかにし、Δ9-THC惹起性の精神疾患に対する新たな治療標的分子を同定することを目的とし検証を行った。その結果、Δ9-THC投与により発現リズムの異常を示す時計遺伝子を発見した。また、時計遺伝子以外の遺伝子においても抑うつ症状発症との関連性の高い遺伝子においても発現リズムの異常が認められた。さらに、種々の解析を用いて、これらの遺伝子の発現リズムを引き起こす因子が数種のサイトカインであることを明らかとしている。今後は、これらの因子を用いて、抑うつ症状の抑制効果等を評価する検討を継続していく。今後、さらなる研究は必要であるが、本研究で解析した結果は大麻を始めとする依存性薬物、危険ドラッグ等により生じる精神障害の発症メカニズムや治療応用に役立つものと期待する。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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