大麻主成分のΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)による抑うつや不定愁訴などの精神障害に対する有効な治療法の開発が望まれているが、その発症メカニズムは依然として不明のままである。本研究では、Δ9-THC惹起性精神障害の発症メカニズムを体内時計の分子機構の観点から解明することを目的とした。その結果、Δ9-THC慢性投与マウスでは、強制水泳試験における無動時間の延長および体内時計により制御されていると考えられている行動リズムの変容が認められた。また、線条体における時計遺伝子の発現リズムが変容していた。これらの結果より、体内時計の変容は抑うつ症状の発症に関与している可能性が示唆された。
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