研究課題
病原真菌Candida glabrataの宿主体内での生育(病原性)において、ミトコンドリア選択的オートファジー(マイトファジー)が果たす役割を明らかにすることを目的に研究を行った。本年度は、(1)C. glabrataにおけるマイトファジー検出法の確立、(2)C. glabrataにおけるマイトファジー関連遺伝子ATG32の発現量とマイトファジーが誘導される条件の同定を試みた。(1)大阪大学生命機能研究科岡本准教授より分与していただいたプラスミドを用い、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)にGFPを付加したタンパク質をミトコンドリアに高発現するC. glabrata株を作製した。この株を親株とし、マイトファジーおよびオートファジーに必須であると考えられているATG遺伝子の破壊株を作製した。これらのC. glabrata株を用い、出芽酵母で報告されている抗GFP抗体を用いたウエスタンブロットにより、マイトファジー活性を検出する実験を行い、検出に成功した。(2)宿主臓器内においてマイトファジー関連遺伝子ATG32の発現量が増加することをすでに明らかにしていたため、宿主体内において菌が遭遇しうるストレス条件でスクリーニングを行ったところ、鉄欠乏条件においてATG32の発現量が著名に増加し、マイトファジーも活性化することが明らかになった。宿主体内、特に血液中ではトランスフェリンなどの鉄キレートタンパク質の働きにより、菌が利用することのできる遊離鉄濃度は非常に低く保たれている。そのため、病原真菌にとって鉄欠乏に適応することは病原性を発揮するために不可欠であると考えられている。マイトファジーによるミトコンドリア分解が鉄欠乏での生育に何らかの役割を果たしていることが示唆され、C. glabrataの病原性についての新たな知見が得られた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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