本研究では新たにMHC-I haplotype 90-120-Iaの拘束するCTLエピトープとしてNef9-19、Nef89-97およびNef193-203を同定し、特にNef193-203とGag241-249は同一のMHC-IアレルであるMamu-A1*065:01に、Nef89-97とGag206-216はMamu-A1*043:01に拘束されることを見出した。感染後2年以上の長期にわたり複製制御を維持したMHC-I haplotype 90-120-Ia共有ビルマ産アカゲザル群コホートにおいて感染後2年のプロウイルス中のNefエピトープ領域の塩基置換を解析したところ、Nef9-19およびNef89-97ではCTL逃避変異とみられる塩基置換が認められた個体群おいてもNef193-203における塩基置換はほとんどの個体で認められなかった。Nef9-19およびNef89-97特異的CTL応答の複製制御への有効性はCTL逃避変異選択により感染後2年までで低下するものの、Nef193-203特異的CTL応答による複製制御能が持続している可能性が示唆された。本個体群においてNefエピトープ特異的CTL応答を解析したところ、実際にNef193-203特異的CTL応答が感染後2年で多くの個体で認められたことから、Nef193-203特異的CTL応答が感染後2年の複製制御維持に寄与することが示唆された。
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