ムンプスウイルス(MuV)を含むモノネガウイルスのRNA複製および転写は細胞質内に形成されるInclusion Body (IB)で行われる。そこでIBの主要構成タンパク質であるPタンパク質と相互作用する宿主因子を探索し、その因子のMuV感染における役割について検討した。Pタンパク質と相互作用する宿主因子をPull-down Assayおよびペプチドシークエンスによって探索したところ、Heat Shock Protein 70 (Hsp70)が同定された。Hsp70はMuVの感染に伴って発現量が増加し、IBにおいてPタンパク質との共局在が観察された。siRNAを用いてHsp70をノックダウンしたところ、MuVの増殖にはほとんど影響を与えなかった。次に、パラミクソウイルスのPタンパク質がユビキチン化されることに着目し、Pタンパク質のユビキチン化へのHsp70の関与を検討した。その結果、Hsp70ノックダウン細胞ではコントロール細胞にくらべて有意にユビキチン化されたPタンパク質が蓄積していることがわかった。さらに、Hsp70ノックダウン細胞ではPタンパク質の分解速度が低下したことから、Hsp70はPタンパク質のユビキチン-プロテアソームによる分解を促進することが示唆された。
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