細胞シートによる卵胞培養を行うため、まずマウス卵胞を用いて諸条件の基礎的検討を行った。培養環境下でマウス線維芽細胞(MEF)の細胞シートを積層することを試み、一定の割合で培養中にも積層状態を維持することができた。マウス卵胞培養において卵胞直径の増大がみられたが、長期間にわたる細胞シートの積層状態の維持は不可能であった。ヒト卵胞培養における検討では、MEFの調整培地とアルギン酸ゲルの利用により卵胞の成長を確認した。本研究により、細胞シートそのものでの人工卵巣構築には課題が残るが、調整培地やゲルの利用による代替法により、人工的に卵巣内環境を再現することは可能であることが明らかになった。
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