研究課題
我々は、体内を培養場として任意の形状の移植用組織体を作る「生体内組織形成術」にて完全自己組織由来の心臓代替弁(バイオバルブ)を開発中であり、これまでに本来の心臓弁に力学的、構造的に近いバイオバルブを作製し、ビーグル犬およびヤギへの移植にて機能性を確認してきた。さらに手術侵襲度が低い経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)または経皮的肺動脈弁置換術(PPVI)に応用可能な心臓代替弁として、自己拡張性ステントとバイオバルブを一体形成させたステントバイオバルブを作製し、大動物にて移植評価を進めている。本研究では、光刺激を応用した組織形成促進技術を開発し、生体内組織形成術による心臓代替弁開発に供することを目的とした。前年度は、光照射基材による組織膜形成の向上を目的として、照度および照射時間を制御できる球状鋳型を作製し、ラットの体内にて鋳型を介した光照射を実施した。その結果、従来よりも短期間で組織の厚みと耐圧性が向上することが示された。今年度は、ステントバイオバルブについて光制御が可能となる鋳型を考案するとともに、ビーグル体内に埋入した鋳型内部の組織形成を体外から観察可能な観察用鋳型を新たに開発し、組織形成の生体内評価を実施可能とした。その結果、ビーグル体内に埋入した鋳型の内部を非侵襲的かつ経時的に評価が可能となり、埋入後4~7週間にてバイバルブの弁葉が完全に形成されることを確認できた。「生体内組織形成術」は患者体内の皮下に鋳型基材を埋入するのみで、自己細胞から構成される移植用組織体が、通常の生活を送りながら作製可能な技術である。本研究では、光刺激による生体の治癒プロセスの活性化により安定した移植用組織体が形成し得る可能性が示され、安全で確実な移植医療の実現に貢献できると期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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