研究課題/領域番号 |
25900002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東畑 郁生 東京大学, 工学系研究科, 教授 (20155500)
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研究分担者 |
廣岡 俊彦 九州大学, 理学研究院, 教授 (90253393)
川野 哲也 九州大学, 理学研究院, 助教 (30291511)
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 教授 (60128056)
宮縁 育夫 熊本大学, 教育学部, 准教授 (30353874)
前野 深 東京大学, 地震研究所, 助教 (20444078)
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研究期間 (年度) |
2013 – 2014
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キーワード | 豪雨 / 斜面災害 / パイピング / 動態観測 / 避難警報 |
研究実績の概要 |
本研究の焦点は、数百年間安定していた三原山斜面が平成25年に大崩壊を起こした理由、24時間で800ミリを超える異常豪雨の影響、そして今後の防災上の提言である。斜面崩壊の素因については現地踏査で見つかった無数のパイピング孔が重要な意味を持つ。この孔は、火山体の成層構造から判断して、山体上部から浸透した大量の雨水が標高差による水圧を帯び、表層を突破して噴出したものである。これが斜面崩落を拡大した。従来は考慮されない現象で、成層構造を持つ火山斜面の不安定性評価を根本から見直す必要がある。 本研究で実施した3本のボーリング調査では、溶岩層の透水性にも着目した。従来は、溶岩層は水を通しにくく、浸透した雨水は溶岩層を底とする土層に滞留して斜面の不安定を招くとされてきた。しかしこの考え方では、表層に50cm程度の深さで水が滞留すれば、斜面は容易に崩壊する計算になる。これは過去数百年斜面が安定であった事と矛盾する。今回の調査で亀裂を持つ溶岩層の高い透水性が実証され、ここからの漏水を上回る激しい豪雨時のみ斜面が崩壊すると考えられる。 地元には、崩れ残っている斜面が今後どうなるかが重大事案である。東京都が災害復興のために実施したボーリングのデータを借用・分析し、25年に崩壊した斜面は埋没溶岩地形の谷部で、周辺から地下水が集まり不安定化しやすい部分であることを示した。崩れ残った斜面は相対的に崩れにくいとみなして良い。 降水予測による土砂災害警報は全国で行われている。しかしこの方法では現地の地形地質を考慮できず、地域向けのきめ細かいアクションには不向きである。これを補うため、本研究では別途開発した斜面動態観測装置を持ち込み、不安定と思われる斜面に設置した。さいわい新たな崩壊はなかったが、安価な観測装置による多点高密度観測、インターネット監視、データ解釈による避難警報という技術の枠組みが実証できた。また、東京都のボーリングデータを分析し、崩れ残っている斜面が崩れにくいことを見出した。 土木学会・地盤工学会・日本応用地質学会・日本地すべり学会の学会連合報告書「平成25年10月台風26号による伊豆大島豪雨災害調査報告書」(2014年3月)を発表した。
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現在までの達成度 (段落) |
本課題は平成26年度が最終年度のため、記載しない
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今後の研究の推進方策 |
本課題は平成26年度が最終年度のため、記載しない
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