近年、健康や環境に対する意識の高まりとともに、化学肥料や農薬を使わない、環境負荷の小さい栽培技術が求められるようになった。そこで、圃場に広く自生するイタドリ、ヤブガラシ、ツユクサの抽出液が発芽後の生育に及ぼす効果に関する散布量・散布回数、そしてくん炭などの効果の表れやすい混合土についても検討した。 栽培作物には水菜とレタス、キャベツを、植物抽出液の材料には、イタドリ、ヤブガラシ、ツユクサを供試した。また、抽出液は、材料を採取・乾燥・粉砕した試料10gに水1000mlを加え攪拌したものを散布した。栽培方法は、育苗実験では播種用培土とくん炭混合土を用いセルトレーで栽培し、露地栽培は畝を作り、すべてビニルハウス内で行った。くん炭混合土は、くん炭を添加したことによる化学性の変化を事前に調査したが、吸着性など判断できなかったため、播種用培土 : くん炭の体積比1:1のものを用いた。抽出液の散布量は1回あたり10mlとし、散布回数は1回、2回あるいは3回散布する3処理区をもうけた。本葉が出現してから、週1回の間隔で最大葉身長、1株あたりの生重量、乾物重、およびSPAD値を調査した。 露地栽培は抽出液を散布した影響はみられなかったが、育苗時におけるヤブガラシ抽出液の散布は、レタスと水菜、キャベツの生育を促進し、特に週2回、1回あたり10mlの散布が効果的であることが明らかになった。また、ヤブガラシ散布区の収穫時のSPAD値が高いことから、アレロパシーの効果だけでなく、抽出液に含まれる窒素分の効果についても示唆された。また、くん炭混合土における抽出液の散布は効果的で、くん炭を添加は生育促進には有効であり、なんらかの緩衝能・吸着能がの働きがあったのではないかと考えられた。
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