本研究はハスを種子から栽培した場合、栄養生長から生殖生長への相転換がいつ起こるか光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いた形態観察と花成関連遺伝子の発現量を定量RT-PCRを用いて明らかにすることを目的とした。 1、形態学的な検証のため、ハスの種を通常の方法で露地栽培し、6月から12月にかけてサンプルを掘り起こし、花芽が形成されているか、頂芽付近を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った。結果、花芽形成の初期と考えられる突起が10節目付近で観察された。しかし、それ以前の節では、形態観察で花成を判断することは困難であった。 2、遺伝的に均質なハスの種子を播種し、5月から9月にかけて計5回サンプルを採集した。定量RT-PCRによって、花芽形成にかかわっているとされているタンパク質の一つであるAP1 (APETALLA1)を指標とし、その発現量を解析した。結果、2回目のサンプリング(6月20日)に採取したサンプルからAP1の発現量が上昇したことが確認された。 以上の結果から、ハスを種子から栽培した場合、栄養生長から生殖生長への相転換は第5葉が展開する6月頃に相転換が起こることが示唆された。
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