センチネルリンパ節シンチグラフィに用いられるSPECT/CT画像ではアイソトープを注入した部位の集積によるアーチファクトを認めることがある。このアーチファクトを減少させるために、SPECT/CT装置を用いた場合に吸収補正や散乱線補正を行っているが、逆にその補正が原因でセンチネルリンパ節の描出能が低下する場合もある。そこでセンチネルリンパ節シンチグラフィにおいて吸収補正・散乱線補正の影響を臨床画像で比較・検討した。女性乳癌症例28例(右側12例、左側16例、両側2例)症例に対してSPECT/CT像を撮像して吸収補正(AC)・散乱線補正(SC)を使用した画像と使用しない画像、どちらか1つのみの補正を行った場合の4通りの画像を作成した。その画像を5名の臨床医が5段階評価でセンチネルリンパ節の有無について評価し(1 : 確実にない、2 : たぶんない、3 : 疑わしい、4 : たぶんある、5 : 確実にある)、診断能を比較するために統計学的な有意差検定を行った。5人の読影医のスコアの平均が4以上の症例を全症例で割ったものをセンチネルリンパ節の検出率として評価した。最も検出率が高かったのはAC+SC-で(スコア : 4.8±0.45、検出率 : 96.4%)、次はAC-SC-で(スコア : 4.6±0.60、検出率 : 89.3%)、3番目はAC+SC+で(スコア : 4.2±1.3、検出率 : 78.6%)、最も評価の低かったのはAC-SC+で(スコア4.3±1.2、検出率 : 75.0%)であった。AC+SC-とAC-SC-、AC+SC-とAC+SC+のスコアに有意差が認められた(P=0.0076、0.0090)。吸収補正をかけることによりセンチネルリンパ節の診断能が有意に改善されたが、散乱線補正をかけると淡いセンチネルリンパ節が見えなくなる例があり診断能が有意に低下したため、散乱線補正を行わない方がよい。
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