研究課題
MEG験を一桁上回る探索感度のアッフグレード実験MEG IIの準備を着実に進め、当初の目標通り担当の測定器が実験に必要な性能を達成することを実証した。これにより本格的な物理データ取得開始後数ヶ月でMEG実験を超える領域の探索が可能となる。MEG II実験用測定器は2018年にすべて完成し、コミッショニングを開始している。2019年は、設計性能達成に向けた各測定器の運転条件の最適化、性能評価試験を行い、予備実験(エンジニアリングラン)に万全の体制で臨むための各種準備作業が進められた。陽電子飛跡検出器(ドリフトチェンバー)については、2018年の試験運転で起こった内側レイヤーの不安定動作の問題に対処し、2019年末にはすべてのレイヤーを用いたビーム試験を行った。異常ワイヤー電流、読み出しアンプの故障などいくつかの問題が見つかったため、2020年前半の加速器シャットダウン期間中に原因調査と対処が行われる予定である。液体キセノン検出器については、使用する光センサー(PMT・MPPC)がビーム運転中に想定外の性能劣化を起こしていることがわかった。2019年のビームタイムにおいて詳細調査を行い、現象の理解と対処方法の検討が行われた。その結果、PMTのゲイン低下についてはPMTを低ゲインで動作させることで、MPPCの光子検出効率(PDE)の低下についてはアニーリングを行うことで対処可能であることが示された。2019年末には荷電バイ粒子の荷電交換反応により生成した信号エネルギーに近い単色ガンマ線を用いた検出器較正を行う予定であったが、MEG II検出器までビームを輸送する超伝導電磁石(BTS)が故障したため実施することができなかった。探索感度のさらなる向上を目指して、日本グループの提案で新たに導入されることになった輻射崩壊同定用カウンターについては、既に建設が完了している下流側検出器に加えて、上流側検出器の追加導入に向けた研究開発が進められた。大強度ミュー粒子ビームが通過する上流側検出器に必要とされる高検出効率・超低物質量・高レート耐性といった性能を実現するために、Diamond-Like Carbon(DLC)を高抵抗電極として用いる超低物質量RPCガス検出器の開発が行われた。試作機を用いた試験により、この検出器が要求性能を満たしうることが示された。今後は、ミュー粒子ビームを用いたレート試験、実機製作に向けた設計作業を進めていく。故障したBTSについては、既にその原因が特定されており、修理を行い2020年のビームタイムに使用することができる見込みである。その他、ドリフトチェンバーの動作不安定性問題など残された課題を解決し、読み出しエレキの量産が予定通り完了すれば、エンジニアリングランを開始できる見込みである。ここでは、検出器間の相互較正、分解能、安定性など詳細な検出器性能評価を行う予定である。2021年本格的な物理データの取得を開始することを目指す。2~3ヶ月の本格的なデータ取得でMEG実験を超える感度での探索が可能となる見込みである。加速器の稼働スケジュールや同じビームエリアを使用する他の実験グループの動向に依存するが、3年間のデータ取得で目標感度に到達することを目指す。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 9件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (39件) (うち国際学会 14件、 招待講演 4件) 備考 (3件)
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