研究課題
項目毎にそれぞれの実績をまとめる。項目A「水素をはじめとしたシンプルなシステムの超高圧物性」①流体水素 : 水素の高温高圧下の金属流体相の電気伝導測定のため、水素の安定的な充填を目指したシステムを構築した。②硫化水素 : 硫化水素の低超伝導相の生成過程にはアモルファスライクな相を経ることが判明した。また、硫化水素高温超伝導相への化学ドーピングを試み、リン共存下で硫化水素超伝導相の生成を確認した。③金属水素化物 : Mo水素化物の高圧下電気抵抗測定に成功し超伝導転移を示唆するデータを得た。④臭素 : X線回折測定により求めた体積の圧力依存性から、分子相内で新たに構造相転移を示唆する結果を得た。⑤第一原理計算 : 遺伝的アルゴリズムを酸素-水素系、アルゴン-水素系に適用させて超伝導相を予測した。硫黄-水素系の超伝導について不純物効果を調べた。項目B「超高圧合成による機能性物質のフロンティア」①熱電材料 : 高圧下の熱電対の絶対温度較正のための測定システムを立ち上げた。項目C「革新的な高圧実験技術および理論計算手法の開拓」①水素の安定充填 : 水素の高温高圧下の金属流体相の電気伝導測定のため、水素の安定的な充填を目指したシステムを構築した。②高度化 : SPring-8・BL10XUにおいて、フラットパネル二次元検出器を導入し、時間発展の観測を実現した。③計算手法 : 非調和効果を取り入れたフォノン計算コードを開発し、リン、カルシウムに適用させた。
1: 当初の計画以上に進展している
設定した研究項目(A, B, C)において設定した項目に基づいて研究を推進した。上記のとおり全ての項目において計画どおりに進展している。硫化水素の低超伝導相について理論的に安定構造の予測の他、実験的に結晶構造変化を測定するなど、重点的に研究を進展させている。
項目毎に方策を述べる。項目A「水素をはじめとしたシンプルなシステムの超高圧物性」・硫化水素類似物質 : 引き続き硫化水素を超える高い超伝導転移温度の達成を目指す。硫黄の他、2価金属(イットリウム、カルシウム)等と水素の混合から、水素化物の合成を試みる。その合成は、低温から高温までの広い温度範囲を用いて作製し、超伝導性を評価する。・固体水素 : 高温下の伝導度測定に加え、室温下または低温下での伝導測定を行い、金属状態の生成に挑戦する。研究協力者のドイツのマックスプランク化学研究所のEremets氏と協力して、水素封止技術の確立と電気抵抗測定用の電極の改良をすすめる。・単体元素 : 軽2価金属 : ベリリウムおよびマグネシウムの超伝導相の探索を行う。また軽ハロゲン族元素 : 塩素およびフッ素の金属化・超伝導発現を目指し、これらの活性な元素に耐えうるガスケット材等技術的開発を行う。・錯体金属水素化物 : Mo系の水素化物の超伝導の再現実験を行う他、他の錯体金属水素化物の超伝導探索を行う。またパラジウム水素化物の超伝導転移温度の圧力依存性を、超伝導転移が消失する圧力まで観測する。項目B「超高圧合成による機能性物質のフロンティア」・熱電材料 : 高温高圧下の正確な温度計測を目指し、引き続き高圧下の熱電対の絶対温度較正を行う。項目C「革新的な高圧実験技術および理論計算手法の開拓」・超高圧の発生 : トロイダル式および2段式のダイヤモンドアンビルにより、400万気圧を超える圧力発生を試みる。・計算手法 : 平成28年度に引き続き、遺伝的アルゴリズムを様々な水素化合物に適用させて新奇高温超伝導物質の探索を実施する。また、得られた結果をデータベース化して機械学習により候補物質を絞り込む方法を構築する。コード開発を行った確率的自己無撞着調和近似計算を水素化合物に適用させて、構造安定性及び超伝導性に対する非調和効果の寄与を調べる。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (77件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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