研究課題
①メカノ心臓再生医療1.ストレッチ・シェアストレス負荷vascularized心筋ブロックの作成:ラット胎児心臓から単離した細胞を用いた予備実験において、厚さ約1mmの3次元心筋組織を構築した。これに伸展刺激を与えると、心筋組織の収縮力が増大することを確認した。次に3次元培養系においてヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)から自律的に拍動する心筋細胞への分化誘導に成功した。シリコンチャンバーを用いた2次元培養系においては、線維芽細胞との共培養によってiPS細胞から心筋細胞への誘導が効率的に行われることを見出した。また周期的な伸展刺激を与えると、自律的な収縮の頻度が伸展刺激の頻度の影響を受けることを見出した。ヒト血管内皮細胞を用いた実験では、シェアストレスの負荷に応じて内皮細胞が配向することを確認した。培養心筋ブロックの力学機能評価の予備実験として、心室内膜側と外膜側心筋細胞の力学評価を行った。2.ストレッチ心筋幹細胞およびその経冠動脈注入法の確立:小児心不全に対する心臓内幹細胞移植療法は、2016年2月に先駆け審査制度により「再生医療等製品」として初めての対象品目に選定され、2年後の保険収載を予定している。心筋梗塞および拡張型心筋症ブタモデルをそれぞれ作成し、幹細胞+Medgel+成長ホルモン放出ホルモンを組み合わせた徐放性ハイブリッド細胞移植実験をこれまでに合計50頭に対して実施した。さらに移植に必要な適正細胞数を決定した。②メカノ生殖補助医療:生殖補助医療における新規治療デバイスの開発マウス二細胞期胚から胚盤胞まで体外で培養する際に、静置培養で培地成分の違いやメカニカルストレス (MS) の有無による遺伝子発現の違いを網羅的に解析した。培地の差異とMSの有無により、胚発育、細胞死、環境ストレスに関与する幾つかの遺伝子発現に有意差や特異的差異がみられた。
2: おおむね順調に進展している
polydimethylsiloxane (PDMS)樹脂を用い、細胞に伸展刺激およびシェアストレスを同時に付加する培養装置を作成した。3次元培養系では、iPS細胞のみを用いると細胞間の結合が維持できないが、線維芽細胞と共培養することにより安定的な組織塊を形成し、かつ自律的に収縮する心筋細胞に分化することを確認した。血管前駆細胞は3回程度しか継代できないため研究の律速段階になっているが、当面はヒト血管内皮細胞を用いることで研究を継続する。ラット心筋梗塞モデルおよび右心不全モデルの作出は成功率が上がりつつある。
①メカノ心臓再生医療1.ストレッチ・シェアストレス負荷vascularized心筋ブロックの作成:現在有している繊維芽細胞・心筋細胞から成る心筋組織に血管内皮細胞を加える。さらに血管内皮細胞はiPSから分化誘導したものを用いる。分化誘導過程で機械刺激を与え、誘導効率を最大にする条件を検討する。心筋梗塞モデルへの幹細胞ブロック埋め込みのための基礎データとして、虚血心筋細胞の力学機能評価を行う。2.ストレッチ心筋幹細胞およびその経冠動脈注入法の確立:成人性心不全疾患に対して適応拡大をめざし、従来の幹細胞単独の冠動脈内に加え、生体吸収性ナノ粒子である(Medgel)併用による幹細胞による治療効果の向上を開発する。幹細胞単独移植に比し、本ハイブリッド移植法は冠動脈内での急性塞栓を誘発するリスクが高いため、有効な徐放効果を示す必要最小のMedgel注入量を決定する。心筋梗塞および拡張型心筋症ブタモデルにおいて本ハイブリッド移植療法の治療有効性を検証する。②メカノ生殖補助医療:生殖補助医療における新規治療デバイスの開発マウス体外受精胚の網羅的遺伝子発現解析結果が得られており、そのデータの解析を平成28年度に行う。体外受精胚とmating胚における遺伝子発現の違いに着目して、体外培養における効果を検討するとともに、今後マイクロアレイで解析すべき遺伝子ターゲットを絞る。また、これまでマウス受精卵に負荷したMSは卵管内MSとほぼ同じであるため、静水圧等のより大きなMSを負荷した際の応答を検証する計画である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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