研究課題
本研究課題は、我々がフォワード・ジェネティックスの手法を用いて樹立した睡眠異常マウス家系であるSleepy変異マウスおよびDreamless変異マウスに着目して、睡眠覚醒制御機構、特に睡眠量を規定する神経機構や、レム睡眠制御の神経回路を明らかにすることである。Sleepy変異マウスは顕著な覚醒時間の短縮を示す。Sleepy遺伝子変異による覚醒時間短縮の責任神経回路を同定するために、Cre-loxPシステムを利用して特定の神経細胞集団でSleepy遺伝子変異を惹起できるような遺伝子改変マウスを作成した。このSleepy遺伝子改変マウスは筑波大学内での繁殖を進めている。Sleepy蛋白が細胞内蛋白質であることから、Sleepy蛋白の細胞内シグナル伝達や遺伝子発現における役割を明らかにするため、Sleepy蛋白上の異なるエピトープに対する抗体を作成した。これらの抗体は、Sleepy蛋白を過剰発現させた細胞だけではなく、マウス脳でもSleepy蛋白を特異性良く検出した。Dreamless変異マウスはレム睡眠の顕著な減少を示す。同定したDreamless遺伝子変異のレム睡眠減少への因果性を証明するため、CRISPR法を用いてDreamless遺伝子に点突然変異を導入したマウスを作成した。F0世代マウスにおいて、Dreamless遺伝子に点突然変異が正しく導入されていることを確認することができた。Cas9遺伝子の挿入は2%程度のマウスに認められた。F0世代マウスは数が少ない上にキメラ動物であるため睡眠覚醒行動検討に適さない。Off-target変異が無いことが確認でき、Cas9遺伝子挿入の無いF0世代マウスを交配させてF1世代を作成している。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度の主な研究計画内容は、遺伝子改変マウスの作製、繁殖、交配である。いずれも計画通りに進展している。
順調に進展しているため、今後も研究計画に則り研究全体を進展させていく。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 18件)
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