研究実績の概要 |
国際会議 The Prospects for Commutative Algebra を、平成29年7月10日から14日、ホテル日航大阪で開催し、David Eisenbud, Juergen Herzog, Dale Cutkosky, 後藤四郎ら、可換環論の大御所とともに、Daniel Erman, Brooke Ulleryら、新進気鋭の若手研究者を招聘し、20件の招待講演を実施した。参加者総数は 103(内、国外参加者は、海外11ヶ国から49名)と盛会であった。 以下、研究面における顕著な成果を列挙する。 (凸多面体)格子凸多面体のδ列に着目し、体積が4以下の格子凸多面体を分類することに成功した。格子凸多面体の分類理論の完成への挑戦は、凸多面体論の現代的潮流の根幹である。それゆえ、研究代表者らの研究成果は、本基盤研究(S)が掲げる、現代的潮流の誕生を著しく促すものである。他方、順序凸多面体に関する従来の研究を踏襲し、グレブナー基底のテクニックを経由し、順序凸多面体と安定集合多面体から、整分割性を持つ反射的凸多面体を量産する斬新な方法を提唱した。 (可換代数)単項式イデアルの正則度と h 多項式の次数の関係に着目し、正の整数 r と s が任意に与えられたとき、正則度が r と、h 多項式の次数が s となる単項式イデアルを構成することに成功した。更に、黎明期にある、有限単純グラフの edge ring の正則度の計算を遂行し、特に、3-linear resolution を持つ edge ring は hypersurface に限ることを証明した。他方、additive number theory における組合せ論の結果である Freiman の定理を、可換代数の枠組で解釈し、Freiman イデアルの概念を提唱し、その諸性質を探究した。
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