研究課題
本研究は、光格子を用いた原子の永久電気双極子能率(EDM)の測定技術を確立することを目的としており、特に、電子のEDM増幅度が原子系において最大であるフランシウム(Fr)を用いたレーザー冷却重元素の原子干渉計の構築を行う。開発に必要な技術は、(1)原子核反応による大強度Fr生成・引き出し、(2)Frのレーザー冷却・トラップによる冷却Fr源の実現、(3)光格子による原子干渉計の開発、(4)磁場変動による偽EDM信号を抑制するための共存磁力計の開発、(5)磁気シールドの開発の5つで構成される。これまでの研究で、(1)は、高温表面電離イオン源の開発により実現し、(3)は化学的性質が類似している安定原子Rbを用いて技術実証を行なっている。また(5)に関しては、磁場変動をモニターし、測定領域の3軸方向に設置したヘルムホルツコイルにより変動磁場をキャンセルするようなアクティブ磁場キャンセラー、および、4層の磁気シールドを整備している。そこで、最終年度では、EDM測定の心臓部となる(2) 冷却Fr源の実現と、(4)共存磁力計の開発を進めた。Frを冷却・トラップするために必要なトラップ光とリポンプ光に関して、ヨウ素分子の振動・回転準位を用いた周波数安定化を行うとともに、この2つの光源の周波数オフセットロックを行い、レーザー光源の最適化を進め、安定したFrの磁気光学トラップを実現した。さらに、Rbを用いた共存磁力計の開発を進め、光格子中で生じるEDMからのエネルギーシフト以外の光シフトを識別・測定するために、2種原子(85Rbと87Rb)の同時トラップによる磁場測定の技術確立を行ない、FrとCs、そしてRbの3種の光格子での共存トラップにより、所定の電子EDMの測定感度を実現する技術を確立した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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