研究課題/領域番号 |
26220801
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西原 寛 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70156090)
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研究分担者 |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20342636)
鞆 達也 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 教授 (60300886)
中里 和郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90377804)
草本 哲郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90585192)
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研究期間 (年度) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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キーワード | 分子ワイヤ / ナノシート / 金属錯体 / エレクトロクロミズム / 発光特性 / フォトシステム |
研究実績の概要 |
本研究では、配位化学の特長である、1) 分子幾何構造の自在構築、2) 結合自由度による構造変換性・柔軟性、および3) 特異物性の発現、を最大限に活用することによって、意図した構造と物性・機能をもつ分子超構造体を自在に組み上げる方法である配位プログラミング法を進化させ、ユニークな物理・化学特性を有する新規分子ネットワークを創製し、さらにこの新しい分子材料を用いて先駆的な高性能の化学素子を開発することを目標とする。具体的には、錯体分子ワイヤ、生体コンポーネント―人工分子ハイブリッド系、二次元物質系、および光・電子・磁気機能分子系を研究対象としている。 錯体分子ワイヤに関しては、炭素電極のみならず、ITO電極上でも電解重合法により、長鎖のπ共役レドックス錯体ワイヤの作製に成功し、良好なエレクトロクロミック特性を示すことを明らかにした。生体コンポーネント―人工分子ハイブリッド系、二次元物質系に関しては、PSIによりDNA伸張反応に伴う化学発光を検出するDNAシーケンサを提案し、基礎実験により、この原理の有用性を示した。PSIのサイズである10 nmの受光素子を用いることができれば、DNAシーケンサの高速化が可能になると期待できる。二次元物質系に関しては、SiO2/n+Si基板上にパターニングした金電極上にニッケラジチオレン(NiDT)ナノシートを形成してFET特性を評価し、高いホール移動度40 cm2/Vsが得られることを示した。また関連物質として、二次元トポロジカル絶縁性に重要なスピン-軌道相互作用を大きくするために重原子導入の研究を行い、改良した二相界面錯形成法を用いるパラジウムジチオレン(PdDT)ナノシートの合成と物性評価および白金(PdDT)ナノシートの合成に成功した。ビス(テルピリジン)亜鉛ナノシートの合成にも成功し、発光特性を示すことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
生体コンポーネント―人工分子ハイブリッド系に関しては、研究分担者である鞆教授ののグループとの共同研究、二次元物質系に関しては研究分担者である中里教授との共同研究の成果が出て、化学と生物、物理、電子工学との融合が当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
強電子相関系CONASH(NiDT, PdDT, PtDT)がトポロジカル絶縁体であることが実証されていないことが課題の一つである。実証するために二方面から検証を進めていく。一つはエッジ電流を検出するというアプローチで、電子物性測定を中里グループと共同で展開していく。第二のアプローチはSTM/STS法によるエッジ状態の実空間マッピングである。
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