研究課題/領域番号 |
26220906
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桑原 雅夫 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50183322)
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研究分担者 |
井料 隆雅 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10362758)
羽藤 英二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60304648)
朝倉 康夫 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (80144319)
山本 俊行 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (80273465)
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研究期間 (年度) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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キーワード | 災害 / 移動体データ / 情報ネットワーク / 交通ネットワーク / リスクマネジメント / 創発性 / 交通行動解析 / 交通シミュレーション |
研究実績の概要 |
①交通行動データ収集・解析手法の高度化については,平常時の行動調査と災害状況を仮定したSP調査を組み合わせた2段階調査手法で得たデータを用いて津波避難行動のシナリオ分析を行った.さらに交通行動の日々変動に関して,GPSを活用した分析により,個人の交通パターンの変動と集計された需要変動についてその関係を把握するとともに,活動・交通パターンの定常性や季節変動,天候の影響を分析した.商用車プローブデータから日本全体の交通状態を可視化する方法を開発した.また,海外から国際WSに招聘を予定していた研究者らとの意見交換を現地で行うとともに、移動体観測手法に関連して高度な可視化の調査システムを改良し、検証を行った。 ②創発型交通ネットワークについては,SNS形状と情報伝搬の関係の解析手法を継続し,情報認知と行動の関係について理論的考察を発展させた.不確実性の高い避難行動を規範行動に置き換え最適な避難戦略を得るLPを拡張させ,計算手法を提案した. ③交通ネットワークの動的運用方策については,公共交通サービスマネジメントとして陸前高田市と黒部市でOn Demandの共同利用型社会実験を実施し専用アプリを開発した.変化する交通需要に対応した交通マネジメント方法を提案し,陸前高田では急速に高齢化が進む地域の相乗り予約サービスを黒部市では相乗りサービスの需要マッチングを行う新たなサービス実装を行った.またグリッドロック発生メカニズムについて研究を開始した. ④国際WS「Dynamic Risk Management of Transport Network-Social Interaction, Monitoring and Simulation」,2017年3月4-5日,参加者約50名,国際セミナー「Traffic Flow and Control」,2016年11月24日,参加者約80名を開催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①交通行動データ収集・解析手法の高度化,②創発型交通ネットワークフローモデルの開発,③交通ネットワークの動的運用方策の構築というサブテーマごとに,予定されていた研究計画をほぼ達成した他,3グループ全体を集めた全体会議によるグループ間の連携も計った. 研究成果の発信についても,予定していた国際セミナー,国際WSの開催を滞りなく実施した.
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今後の研究の推進方策 |
①交通行動データ収集・解析手法の高度化については,移動体観測データを用いた経路および出発時刻選択行動モデルを改良し,動的交通流シミュレータを検証する.併せて,ネットワークの動的マネジメントモデルの有用性を検証する. ②創発型交通ネットワークフローモデルの開発では,開発工程のうち,(1)創発型ネットワーク交通流モデルの基礎理論構築と(2)動的交通流シミュレータのプロトタイプ開発は,おおむね完了しているので,(3)動的交通流シミュレータの現況再現性の検証と感度分析を行う. ③交通ネットワークの動的運用方策の構築では,動学的意思決定モデルの枠組みに相互性の行動概念を組み込んだ上で,相互扶助型公共交通の最適制御モデルへと拡張し,実データを用いたマネジメントの評価実験を行う.また,グリッドロックの発生メカニズム解明と対策提案についても,引き続き検討を行う.
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