研究課題
本年度は、1)シナプス後部記憶プローブ(AS)プローブはPSDを標的としていたために条件によっては毒性が出て、例えば青や赤蛍光蛋白質に対して個体では使用ができなかったが、この問題を抜本的に解決した、AS2プローブを構築した。一方、軸索終末側も活動依存的蛋白質依存的な標識が入ることがわかり(BSプローブ)その特徴づけを進めた。これは活動依存的に蛋白質合成が軸索で起きることを示す初めての知見である。このBSプローブ(青)とAS2プローブ(赤)を同時に用いて、学習シナプスを染めたいところ、BSプローブで終末が標識されたシナプス後部の実に92%がAS2で標識され、BSプローブはスパイン増大したシナプスの前部を標識することが証明された。2)覚醒動物の条件学習について側坐核D1細胞、およびD2細胞の関与をそれぞれ調べた結果、D1細胞はドーパミン濃度の上昇を検出して、著しい報酬汎化学習を起こすことがわかった。一方、D2細胞はドーパミン濃度のわずかな減少を検出して弁別学習に関係する。また、精神症状モデル動物には弁別障害があり、これが抗精神薬であるD2阻害剤を投与すると著しく改善することがわかった。こうして、D1,D2細胞を持つ線条体は汎化弁別学習をして適刺激や適行動を報酬や罰から学んでいく回路であること、また、抗精神病薬D2阻害剤で治療される精神症状(妄想・幻覚)は弁別障害として捉えられる可能性であることがわかった。3)スパインシナプスのスパイン増大の際にシナプス前終末の開口放出は増大していることがわかった。この際、SNARE蛋白の会合が増強しており、スパインが推すことにより、ドックした小胞が増えることが示唆された。こうして、スパインシナプスでは力学的な伝達があることがわかってきた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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