研究課題
2. 様々な病態をモニターできるマウスの開発2-1. iRFPにより特定の細胞を追跡できるマウスの開発:iRFPをこれまで開発されている様々なCre-driverマウスにより特定の細胞集団のみで発現させることのできるマウスを開発した。このマウスでは、全身で発現するRosa遺伝子領域にloxP-Halotag-loxP-iRFPがノックインされている。このマウスを膵臓β細胞特異的にCreを発現しているIns1-Creマウスを交配したところ、膵臓β細胞特異的にiRFPの蛍光を検出することが可能であった。2-2. 血管新生をモニターできるマウスの開発:iRFPを挿入したマウスを開発し、 in vivoにおいて血管新生をモニターできるマウスの開発を行った。iRFPの他に、蛍光発光イメージングが可能なNano-lanternのBACTgマウスを開発したところ、離れた場所からの発光を観察することが可能となった。2-3. 組織の線維化をモニターできるマウスの開発:線維化をin vivoでモニターできるマウスの開発を行った。組織障害時に産生が亢進する1型および5型コラーゲンの転写をin vivoでモニターできるマウスを開発した。基盤技術で開発したCRISPR/Cas9によるノックインシステムを利用して、iRFPをコラーゲン遺伝子の発現制御領域の下流に挿入することを試みた。2-4. 神経活動の履歴をモニターできるマウスの開発:これまでの研究で開発してきたZif268/Egr1プロモーターと長寿命Venus蛍光タンパク質を用いることにより、神経活動の履歴をモニターできるマウスを開発した。Venusの代わりにiRFPを用いて、より非侵襲的に解析できるマウスを開発した。本研究に関連した新たなレポーターマウスの開発:本研究に関連して、新たなレポーターマウスを開発した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の目的であった項目「1.in vivoイメージングを効率化するための基盤技術の開発」では、4つの小項目全ての基盤技術を開発することができた。また小項目「1-3. 蛍光観察を阻害するメラニン色素のオーダーメイド阻害法の開発」と「1-4. 蛍光観察を阻害する体毛のオーダーメイド阻害法の開発」に関連して、CRISPR/Cas9を用いた遺伝子改変マウス作製法を改良し、1Mbに及ぶゲノムDNA欠損マウスの作製、点突然変異の導入、FlagやHA tagの導入、iRFPを含むマーカー遺伝子の遺伝子発現制御領域下への挿入、コンディショナルノックアウトマウスの作製など、非常に応用範囲の広い、作製技術を開発することができた。さらに項目「2. 様々な病態をモニターできるマウスの開発」でも「2-1. iRFPにより特定の細胞を追跡できるマウスの開発」は完了し、なおかつ、成体になってからのiRFPの誘導により、体外からモニター可能な細胞除去方法が確立できる可能性があるなど、予想外の発展が期待できる。また項目2の他の小項目でも、既にマウスの作製を行なっており、残り2年の研究期間中に、期待以上の成果が得られると考えられる。上記の理由により「当初の目標を超える研究の進展があり、予定以上の成果が見込まれる」と考えられる。
2. 様々な病態をモニターできるマウスの開発2-2. 血管新生をモニターできるマウスの開発:既にNano-lanternを用いて、体外から血管新生をモニターできるマウスを開発しているが、当初の予定どおりiRFPをFlk1遺伝子領域に挿入したマウスを開発し、in vivoにおいて血管新生をモニターできるマウスを継続して開発する。さらに、デグラトンiRFPを導入することにより、時期特異的にiRFPを観察できるマウスを継続して開発する。2-3. 組織の線維化をモニターできるマウスの開発:組織障害時に産生が亢進する1型および5型コラーゲンの転写をin vivoでモニターできるマウスを継続して開発する。1型および5型コラーゲンの遺伝子発現制御領域下にiRFPを挿入し、iRFPの発現で組織線維化をモニターできるマウスを開発する。また、デグラトンiRFPを導入することにより、特定の時期のみのiRFPを観察できるマウスを開発する。一方、iRFPを融合した5型コラーゲンが産生されるようにiRFPをマウスゲノムに挿入し、iRFPが5型コラーゲンの蓄積に伴って集積するマウスを開発する。2-4. 神経活動の履歴をモニターできるマウスの開発:iRFPを用いて、より非侵襲的に解析できるマウスを継続して開発する。この計画では、既に確立されたZif268プロモーターを用いてマウスを作製する。またデグラトンiRFPを用いて時期特異的にモニターできるマウスを開発する。特に末梢神経での痛み刺激の定量を行えるかを確認する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 備考 (2件)
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