BKカリウムチャネルを用いて、その電位センサーを手動で開閉させることをめざしてきた。チャネルの手動開閉にはとりあえずは成功したが、極めて難しい実験である。ひとまず、チャネル配列の電位センサー部に膜内に潜り込めないような外来性たんぱく質やアミノ酸配列を挿入することにより、その外来性たんぱく質やアミノ酸配列の存在がチャネルの開閉を制御することを示した。 回転分子モーターF1-ATPaseの回転スキームに関して、新しい測定法と試薬を用いた成果が報告されたが、本研究の細菌で行った実験で得られた仮説とは異なる内容であった。少なくとも、同じような手法により仮説の再検証が必要であり、現在実験を進めているところである。また、回転子頭部を削除しさらに回転軸部分にも大きくアミノ酸置換を入れた変異体において、有意なトルクによる連続的な回転が見られたことから、回転子部分にはトルク発生に必須なアミノ酸残基は1つもないことが分かった。さらに、回転子頭部の削除を試みる中で見つかった、定常加水分解活性が野生株よりはるかに大きな変異体については、アミノ酸1残基ごとの変異だけではこれを実現できないことが分かった。さらに検討を進めている。 DNAの二重螺旋をさらにきつく巻く超好熱菌由来の酵素(Reverse gyrase)の働きを、初めて一分子顕微鏡観察した。DNAを捻る速度は従来考えられていたよりも100倍以上速いことが分かった。磁気ピンセットを用いて更にDNAを捻ると、今度は巻きを戻す反応を起こすことも分かった。少しだけきつくDNAを巻きつづけることで高温でもDNAの熱変性を防いでいると思われる。
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