研究課題/領域番号 |
26221303
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
西村 栄美 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70396331)
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研究分担者 |
松村 一 東京医科大学, 医学部, 教授 (80256263)
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研究期間 (年度) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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キーワード | 毛包 / 加齢 / XVII型コラーゲン / 幹細胞 / 老化 / 再生 |
研究実績の概要 |
申請者らはほ乳類の毛包が老化する仕組みを研究し、毛包幹細胞を起点とした加齢変化がその要となることを見出している。加齢に伴い毛包幹細胞が自己複製せずに毛包の構築自体に大きな変化をもたらしつつも、毛包間表皮幹細胞を維持することを見出している(論文投稿中)。さらに,毛包幹細胞の維持に必須のヘミデスモソーム構成分子であるXVII型コラーゲン(Col17a1)の発現が加齢に伴う毛包の変化と深い関連を示すことを見出しており,その仕組みについて研究計画を遂行しており,一部は学会発表を行なった。皮膚の老化メカニズムを明らかにするために、野生型マウスにおける皮膚の加齢過程を組織学的に解析した。C57BL/6野生型マウスにおける休止期の毛包の加齢変化を長期観察したところ、汎発性の脱毛パターンを示した。マウスの頭部背側中央から背側中心部にはじまり、散発性に放射状に広がった。加齢に伴う毛包変化について、毛包幹細胞と子孫細胞を可視化できる系を用いて幹細胞運命解析を行った結果、一定の毛包老化ダイナミクスを示して毛包自体が消失することをはじめて見出した。その組織学的解析から,休止期の毛包のステージングに成功した。さらに,毛包幹細胞における初期変化の中でもDNA損傷応答に着目して、幹細胞老化シグニチャーを明らかにすべく、週齢の異なるマウスの毛包幹細胞において、毛包幹細胞に特異的に発現する分子の発現解析を行った。特に、毛包幹細胞と毛包間の表皮幹細胞に発現する鍵分子,および基底膜分子の発現を中心として免疫組織科学的解析に加えて、純化した幹細胞集団における網羅的発現解析を行い,現在、その解析結果をまとめている段階にある。当初の計画以上に興味深い知見が得られつつあり,達成度としては期待以上である。現在、論文を改訂し投稿準備を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚の老化メカニズムを明らかにするために、野生型マウスにおける皮膚の加齢過程を組織学的に解析した。C57BL/6野生型マウスにおける休止期の毛包の加齢変化を長期観察したところ、汎発性の脱毛パターンを示した。マウスの頭部背側中央から背側中心部にはじまり、散発性に放射状に広がった。加齢に伴う毛包変化について、毛包幹細胞と子孫細胞を可視化できる系を用いて幹細胞運命解析を行った結果、一定の毛包老化ダイナミクスを示して毛包自体が消失することをはじめて見出した。その組織学的解析から,休止期の毛包のステージングに成功した。さらに,毛包幹細胞における初期変化の中でもDNA損傷応答に着目して、幹細胞老化シグニチャーを明らかにすべく、週齢の異なるマウスの毛包幹細胞において、毛包幹細胞に特異的に発現する分子の発現解析を行った。特に、毛包幹細胞と毛包間の表皮幹細胞に発現する鍵分子,および基底膜分子の発現を中心として免疫組織科学的解析に加えて、純化した幹細胞集団における網羅的発現解析を行い,現在、その解析結果をまとめている段階にある。当初の計画以上に興味深い知見が得られつつあり,達成度としては期待以上である。現在、論文を改訂し投稿準備を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の幹細胞における網羅的遺伝子発現解析から有意に加齢と関連した分子やパスウェイが明らかになってきている。これらの分子について,毛包幹細胞特異的な遺伝子欠損マウス、および過剰発現マウスを作製して,その重要性について検討するための準備を進めている。さらに,その分子メカニズムとして幹細胞分裂とどのように関わっているのか,さらに研究をすすめていく。これらのアプローチから抽出される最重要分子やパスウェイを制御できる剤をスクリーニングする系をたちあげ,創傷治療薬や育毛剤などの開発へと役立てて行く。
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