研究課題
高齢化社会において加齢関連疾患の克服に向けて、組織の老化機構の解明が急務となっている.加齢によってヒトと同様にマウスにおいてもび漫性の脱毛を来すことに注目し、臓器の老化モデルとして毛包が老化する仕組みについて解明することを目的として研究を行なった。とくに毛包幹細胞の維持に必須のヘミデスモソーム構成分子であるXVII型コラーゲン(Col17a1)に着目し、加齢による恒常性の変容と破綻の機序について研究をすすめ、野生型マウスにおける皮膚の加齢過程を解析し毛包がダイナミックな構築変化を経てミニチュア化して消失することを明らかにした.あらたにwhole mount免疫染色を導入し、広い視野に渡って皮膚の毛包を多数立体的に観察した。その老化ダイナミクスを明らかにするため,遺伝子改変マウスを用いて毛包幹細胞の運命追跡を行なった.毛包幹細胞の維持に必須のヘミデスモソーム構成分子であるXVII型コラーゲン(Col17a1)の発現低下もごく一部の毛包から始まり、加齢によってステップワイズに恒常性が変容し、最終的に幹細胞の枯渇と表皮分化を経て毛包が消失することを確認した。また、XVII型コラーゲンを分解する酵素を強制的に毛包において発現するマウスの作成を行い、毛包の老化ダイナミクスの解明に向けて研究をすすめた。さらに、若齢と高齢のマウスの皮膚から毛包幹細胞を純化し老化シグネチャーの同定を行なった。これに基づき、加齢による毛包幹細胞制御分子の発現を制御する剤の探索を開始した。これら幹細胞制御因子の制御から再生医療、または先制医療への応用 へと繋ぐべく研究をすすめていく.
1: 当初の計画以上に進展している
皮膚の老化メカニズムを明らかにするために、野生型マウスにおける皮膚の加齢過程を解析し毛包がダイナミックな構築変化を経てミニチュア化して消失することを明らかにした.その老化ダイナミクスを明らかにするため,遺伝子改変マウスを用いて毛包幹細胞の運命追跡を行なった.その結果、毛包幹細胞の維持に必須のヘミデスモソーム構成分子であるXVII型コラーゲン(Col17a1)に着目し、加齢による恒常性の変容と破綻の機序について研究をすすめた。幹細胞を起点とする組織特異的な老化プログラムの存在が明らかになったことから、さらにその実体と毛包の老化ダイナミクスの解明に向けて研究をすすめた。さらに,若齢と高齢のマウスの皮膚から毛包幹細胞を純化し老化シグネチャーの同定を行なった。これに基づき、加齢による毛包幹細胞制御分子の発現を制御する剤の探索を開始した。
今回、毛包老化プログラムを担う遺伝子を毛包幹細胞において特異的に欠損するconditional欠損マウスを作製して解析を行なっていく.そのなかでも幹細胞の自己複製を制御する仕組みとして分裂軸に着目した研究をすすめている。さらに、幹細胞老化を制御する遺伝子や剤の探索を本格的に行なっていく予定である。かこれら幹細胞制御因子の制御から再生医療、または先制医療への応用 へと繋ぐべく研究をすすめていく.
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 7件、 招待講演 13件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Cell Stem Cell
巻: 19(2) ページ: 192-204
10.1016/j.stem.2016.05.013.
http://www.tmd.ac.jp/mri/scm/index.html