研究課題
(1) Girdinのがん細胞集団移動における役割:病理組織学的にがん細胞は集団を形成して浸潤する像が特徴の1つである。Girdinのがん細胞集団移動における役割をコラーゲンゲルおよびマトリゲル中でA431扁平上皮癌細胞を培養することにより解析した。Girdinの発現をノックダウンするとA431細胞の集団移動能が明らかに低下し、その際、運動中のがん細胞表面のFilopodia形成が顕著に低下した。すなわち、Girdinノックダウン細胞ではアクチン細胞骨格の再構成に異常を生じ、集団移動能が低下することを示した。さらに、Girdinはbeta-cateninと結合することが明らかになり、Girdinノックダウン細胞ではcadherin-catenin複合体とアクチン細胞骨格との相互作用の低下がみられた。その結果、Girdinノックダウン細胞では細胞間接着の低下と運動能の低下を生じ、がん細胞の集団移動能を障害することを示唆した。(2) Dapleによる脳室上衣細胞における繊毛の極性決定機序:われわれの以前の研究により、DapleのKOマウスは脳室上衣細胞の繊毛の極性異常により、その規則的な方向性ある運動能が失われ、脳脊髄液の流れの乱れが生じることにより水頭症を発症することを明らかにした。今回、そのメカニズムの解明をさらに進めた。DapleはDvl1と結合することにより、WntレセプターであるFzd6とともに上衣細胞の前方(脳脊髄液の流れる方向)の膜近傍に局在する。さらに、今回Dapleが微小管上を動くモータータンパクであるダイニンの中間鎖と結合することを明らかにした。Daple-ダイニン複合体形成により、微小管のマイナス端に存在する繊毛基底部のBasal Body(BB)を細胞の前方方向へと引っ張る力が発生し、BBの極性が決定される機序を示唆する結果を得た。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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