研究課題/領域番号 |
26221306
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒崎 知博 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (50178125)
|
研究期間 (年度) |
2014-05-30 – 2019-03-31
|
キーワード | メモリーB細胞 / Bach2 / 抗原 / Affinity / Bcl6 / 液性免疫 |
研究実績の概要 |
本年度は、メモリーB細胞の生成メカニズムについて、転写因子Bach2に着目して、Bach2遺伝子の誘導的欠損、又、Bach2レポーター遺伝子を用いて解析し、以下の成果を得た。 1)Bach2遺伝子は抗原刺激によって、その発現がdown-regulationされるが、その後、抗原が枯渇すると、再びupregulationされるようになる。胚中心細胞(GC B細胞)に分化した後は、転写因子Bcl6の制御のもと、一端低下したBach2の発現が上昇するようになる。 2)このBach2の再上昇はメモリーB細胞の産生には必須である。3)GC B細胞では、抗原に対するhigh affinity及びlow affinity細胞が共存するが、high affinity細胞はBach2発現が低く、又low affinity細胞はBach2発現が高く、このBach2発現の高いGC B細胞がメモリーB細胞プールへ、より入りやすい。4)逆に、Bach2発現をhaplo-insufficiency(低下)さすと、メモリーB細胞プールへのenterが減弱する。 以上の結果は、「GC反応中に、high affinityでより強いシグナルが入った場合には、プラズマ細胞へ、low affinityでより弱いシグナルの場合には、メモリーB細胞へ分化する」という従来の実験事実を、巧く説明する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画以上に進展しているパート(メモリーB細胞生成メカニズム)と、やや遅れているパート(特徴を支える細胞分子のメカニズム)が混在している。しかし、必須の遺伝子改変マウスの樹立や、その基礎データも、ほぼ整いつつあり、次のステップに向かいつつある。このように、全体的にはおおむね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
できるだけ早く遅れているパートの挽回を図る。この点に関して、すでに基盤データは得られているので研究のスピードの迅速化を図る。生成メカニズムのパートは、非常な進展を見せており、さらに充実して汎く国際的に、そのコンセプトを発信するようにする。
|