研究課題
私たちは既に、胚中心(GC)の中で、GC B細胞はT細胞から弱いシグナルを受けると、メモリーB細胞に分化することを明らかにした。本年度は、それでは、強いシグナルを受けると、GC B細胞はどのような運命決定をするかを検索した。GC B細胞の細胞亜集団の単離・解析、BCR, T 細胞ヘルプ欠損マウスを用いて、以下の成果を得た。1)Bcl6レポーターマウスを用いて、GC B細胞を細分化すると、Bcl6loIRF4hi という亜集団が存在し、この集団がプラズマ細胞へ分化する、直前の前駆細胞であることを、遺伝子発現パターン・BCRレパトアーの解析を用いて明らかにした。2)Bcl6loIRF4hi亜集団は、他の細胞亜集団に比べて、BCR, CD40シグナルを非常に強く受けていることがRNA発現パターンより、示唆された。3)事実BCRシグナル、CD40シグナルを減弱する変異GC B細胞では、いずれもBcl6loIRF4hiの細胞亜集団の産生が顕著に減弱していた。4)Foxo1遺伝子のpre-GC, GC phase特異的な欠損をおこなうと、pre-GCではFoxo1遺伝子欠損さすことにより、抗原特異的B細胞の、より過剰な増殖が見られた。逆にGC phaseではGC細胞の増殖phaseであるDZ GC B細胞が観察されず、又, それによりGC B細胞全体の増殖が低下した。1)2)3)の結果は、非常に強いT細胞からのシグナルを受けるとGC B細胞は転写因子IRF4が上昇し、一方Bcl6の発現減弱が生じ、プラズマ細胞への分化が促進されると同時に、GCプログラムからの離脱が生じ、GCから出ていくようになる、ことを強く示している。
2: おおむね順調に進展している
予測以上に早く、進展しているパート(GC B細胞の分化メカニズム)と、やや遅れているパート(メモリーB細胞の生存メカニズム)が混在している。しかしながら、メモリーB細胞生存メカニズムを明らかにする、マウスも樹立しつつある。全体的には順調に進展している。
今までの、やや遅れている面は一気に進め遅れを挽回するよう努める。又、予測以上に先行しているパートは、更にその次の重要な課題も明確になっていると同時に、必要な実験材料も樹立しているので、常に国際的にリードを保つべく進展さす。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 10件) 備考 (1件)
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