研究課題
私たちは既に、モデル抗原系であるハプテンNPを用いて、胚中心(GC)の中で、GC B細胞はT細胞から弱いシグナルを受けると、メモリーB細胞に分化することを明らかにした。本年度は、インフルエンザ感染の系を用いて、先ず、どのようなメモリーB細胞が、どのような過程を経て形成されるかを検討した。そして、以下の成果を得た。1)インフルエンザ感染では、HA蛋白に対するhead部位に対する抗体と、stem部位に対する抗体を有するメモリーB細胞が産生されるが、数にして約10倍head部位に対するメモリーB細胞が多いいことを明らかにした。2)PR8株にたいするhead領域の抗体は、あるエピトープに対してのものがドミナントであるが、Narita株を用いると、PR8株とは、全く異なるエピトープがドミナントになり、ウイルス株により、全く異なることが判明した。3)Stem領域に対するメモリーB細胞は、異なる株のインフルエンザに感染した時に、認識構造がよく似ており、先ず活性化し、迅速に抗体を作りだす。又、このstem抗体が異なる型の感染に必須であることを証明した。4)Stem領域に対するメモリーB細胞は多くのものがGCを経て産生されることが明らかになった。又、この一部のものは、2度目の異なる株のインフルエンザ感染の時に、再度GCプールにはいり、再度BCRの再構成を行いえることが明らかになった。5)Stem領域に反応する抗体は、おおくのものが例えばDNAにたいしても反応するようにpoly-clonalityを示し、このことが、head領域に対するメモリーB細胞に比べて産生量が少ない原因と考えられる。
2: おおむね順調に進展している
予測以上に早く、進展しているパート(GC B細胞の分化メカニズム)と、やや遅れているパート(メモリーB細胞を維持する外的メカニズム)が混在している。しかしながら、メモリーB細胞維持外的メカニズムを明らかにする、マウスも樹立しつつある。全体的には順調に進展している。
今までの、やや遅れている面は遅れを挽回するよう努める。又、予測以上に先行しているパートは、新規概念の提出に繋がるものであり、更にその次の重要な課題も明確になっていると同時に、必要な実験材料も樹立しているので、常に国際的にリードしていくように進展さす。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
J. Exp. Med.
巻: 214 ページ: 1181-1198
10.1084/jem.20161263.
Proc. Natl. Acad. Sci. U S A.
巻: 114 ページ: E6400-E6409
10.1073/pnas.1705551114.
J. Biol. Chem.
巻: 292 ページ: 18098-18112.
10.1074/jbc.M117.808535.
PLoS One.
巻: 12 ページ: e0187950.
10.1371/journal.pone.0187950.
Nat. Rev. Immunol.
巻: 17 ページ: 437-450
10.1038/nri.2017.26.
Curr. Opin. Immunol.
巻: 45 ページ: 126-131
10.1016/j.coi.2017.03.003.
http://lymph.ifrec.osaka-u.ac.jp/index_j.html