研究課題/領域番号 |
26240003
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
鎌倉 稔成 中央大学, 理工学部, 教授 (40150031)
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研究分担者 |
渡邉 則生 中央大学, 理工学部, 教授 (10182940)
栗原 考次 岡山大学, その他の研究科, 教授 (20170087)
小西 貞則 中央大学, 理工学部, 教授 (40090550)
西井 龍映 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (40127684)
宿久 洋 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (50244223)
尾形 良彦 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (70000213)
矢島 美寛 東北大学, 経済学研究科, 客員教授 (70134814)
山田 正 中央大学, 理工学部, 教授 (80111665)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 凸包 / ポアンカレコーン / 角度データの一様性 / 線分の分布 / 災害と地名 |
研究実績の概要 |
本年度は,災害,特に津波の被害領域と津波の強度の総合指標として有用なポアンカレコーンを用いたモデルについてその有用性を検証し,これを論文としてまとめた.ccc-hullと呼ばれる,コーンの形状にによって変化する凸包と元になる点群の性質によって,被害領域を再現することができ,被害領域を代表するパラメータとしてコーンのとがりの角度を推定することによって,客観的な尺度となることを考察した.ポアンカレコーンについては,3次元への拡張が次のステップである. また,活断層を線分と捉えることにより,その方向と長さと位置の分布についてのモデルについても言及した.角度の一様性については,Rao検定の統計量の分布を正規近似することに,高速に有意性の情報量であるp値を計算できることが,研究の結果判明した.これまで,精度高く計算することが困難で,あらかじめ特定の値について計算した数表を持つことによって,棄却限界値をコンピュータ内部に持つことが限界であったが,この精度高い近似で高速に行うことが可能になった.通常の分布論では1次のモーメントは比較的容易に求めることができるが,統計量は円周上の分布であり,不連続部分布が存在するために求めることが困難であったが,高速に求めることが可能となった. また,地名と災害との関係も水や龍など地名と災害との相関分析を行うことにより,歴史的に危険な地域にはそれなりの名称があたえらていることが,統計的に明らかにした.現在のデータはウェブ上で得られるものに限っており,まだ十分とはいえない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者の役割等を踏まえて,科研費シンポジウムにおいて,研究成果の進捗状況,研究の成果を確認しており,おおむね順調に推移していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎え,これまでに行ってきた研究の整理とまだできていないことを完了することが研究の方針である.土砂災害については,楕円領域の近似を行い,その方向と規模を少ないパラメータで要約することを考えてきた.土砂を点群で表現したときには,不完全データの情報損失は楕円率に決まることを研究してきたが,連続量の場合は必ずしもそのような結果とはならず,線分の拡張とはなっていないので,別角度からのモデリングが必要であり,この点も今年度は明確にしたい.また,方向の分布についてもRao検定の計算性能を向上させること,および,モーメントの導出を理論的にも精確にすることを考えている. 新しい課題として,災害の避難の問題を歩行者の特性をモデリングすることにより,円滑な避難ができるよう考察することも考えている.シミュレーションの結果ではあるが,閉領域における避難誘導者は多ければ多いほどいいというわけでなく,避難路の特徴,歩行者(歩行避難の場合)の行動パターンによって大きく変わることがわかっている.この点についても新しい問題として取り上げていく予定である.また,避難時における空間の位置情報の正確な把握するためにはどうのようにすべきか,適切な避難動線を確保できるかという問題についても,歩行の安全性という立場から研究を進める予定である.
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